えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

夢から思い出した

私は滅多に夢を見ない。そして、見ても起きたら殆ど思い出せない。

そんな私が昨夜というか明け方だと思うけれど、夢を見た。

元同僚のFさんが私を呼んで何かを言った夢。

Fさんの体は影のように長く、顔は天井近くにあり、足は部屋の角で折れ曲がっているようだった。ホントに影のように。そして、寝ている私に高いところから呼びかけ、何かを言ったのだ。言った内容は目を覚ました時点では覚えていたけれど、体を起こした時にはもう思い出せなかった。

「何でFさんが・・・」と思ったら、忘れかけていたイヤなことまで思い出してしまった。

 

それは夫が脳出血で倒れた当時まで遡る。

夫が倒れたのは水曜日の夕方のこと。その日の夜中から翌日未明にかけて緊急手術が行われ、夫はICUに入院した。ICUでは付添ができないので私は医師の説明を受けてから帰宅した。そして、翌日がたまたま休みだったので、市役所で高額医療の認定書を発行してもらったり、入院に必要なものを買ったり、必要なことは全て済ませ、ICUの面会時間には夫の傍で過ごしていた。

ICUでは1日3回、1回1時間しか面会ができない。だから、金曜日には普通に出勤した。だけど、緊急事態に備え、いつもはロッカーに置いてある携帯電話を白衣のポケットに入れておいた。すると、子どもたちから次々に電話が入った。

当時の部署は私とKさんとSさんの3人の看護師とパートの事務員が1人だけ。その日、Sさんは年休で、事務の人は時間で帰宅していた。だから、そこにはKさんしかいなかった。いつもと違う様子にKさんは「何かあったの?」と聞いてきた。Kさんには隠しておけないので全て話した。すると驚いたKさんは時間休をとって帰るように勧めた。夫はICUだから面会はできないし、必要ないと言っても、Kさん自身が気になるからと、帰るように何度も勧めた。まあ、その時間からだとKさんが1人になっても大丈夫な時間ではあったけれど。それで、私は上司に事情を説明し、時間休をとることにした。

そこまでは良かったのだ。

私が上司に事情を説明したのは職場でのこと。今後、迷惑をかけるようなことがあるといけないと思い、自分の個人情報を話したのだ。聞いた上司(3人)は職務で知り得た私の個人情報なのだ。それを口外して欲しくはない。世間話のように話すことなど許されないことだと思っている。ましてや病院外の人には。例え、元職員で私と付き合いのある人であっても。もちろん、隠しておかなければならないことではないかもしれないけれど。

それが口外されたのだ。上司の一人からFさんに。そして、聞いたFさんは私に「〇〇さんから聞いたけど大丈夫?」と連絡をしてきた。平静を装ってはいたけれど、私が自分自身を責め続け、今後のことを考え、真っ暗闇の中から抜け出せないでいる時に。

実はもう一人、上司から聞いた他部署の人(上司と同じ役職の看護師ではあるが他部署の所属)からも同じ時期、同じように声をかけられたのだ。

私はどちらにも普通に対応した。だけど、そっとしておいてほしかったのでとても辛く悲しかった。

 

私が自分から話したのは同僚のKさんと翌月に泊まりの約束をしていたS子ちゃんだけ。

Kさんは病院内でいちばん仲好しの後輩師長にも6か月後に私が退職するまで一切話していなかった。S子ちゃんも誰にも。

実は上司からもう一人Nちゃんが聞いていた。

Nちゃんは私とも親しい同僚で、1年前まで脳外科の師長だった。だから、私も話していろいろ聞きたいと思っていた。だけど、さっき書いたように当時は自分の心がどうしようもない状態だった。だから、話そうと思っても話せないでいた。そんな私をNちゃんは知っていてもそっとしておいてくれたのだ。上司から聞いた時に私が話すまでは黙っていると言い。

だから、私はKさんとS子ちゃんとNちゃんは今でもずっと信頼している。

上司には患者さんの個人情報だけでなく、職務で知り得た職員の個人情報も同じだと言いたかった。でも、言えなかったけれど・・・

そして、Fさんともう一人の私に声をかけてくれた人は親切で声をかけてくれたのだと思っている。だけど、本人から聞いたのではないことは黙っていてほしかった。せめて私の心が落ち着くまではそっとしておいてほしかったのだ。

 

久しぶりにFさんが夢に出て、忘れかけていたこんなことまで思い出してしまった。

父か母みたいに会いたいと思っている人が夢に出てくれれば嬉しいのに・・・