えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

それでよかったのよ

昨日、高校時代の友人Yちゃんのお義母さんが入院したというので、J子さんと一緒にお見舞いに伺った。

 

ややこしいけれど、J子さんはYちゃんのお姉さんの友人で、お義母さん行きつけの美容師さん。そして、私はYちゃんからJ子さんを紹介してもらったという間柄。

 

Yちゃんは高校を卒業すると東京の大学に進学した。

当時、私の友人はみんな東京の大学に進学し、私だけが名古屋の看護学校に進学した。

そして、Yちゃんだけが地元に戻った。

当然のように、私は地元に戻ったYちゃんと一番親しくなった。

 

Yちゃんは中学・高校と同級生だったM君と縁あって結婚した。

私の中学は1学年650人ぐらいで14クラス(兄の学年は750人ぐらいで15クラス)もある超マンモス校だったけれど、Yちゃんの中学は2クラスの小さな中学だった。

だから、私は同級生といっても知らない人がわんさといたけれど、Yちゃんはみんな知っていたという。そして、成績が近い者同志ということもあり、何人かのグループで仲良くしていたようだ。

大学を卒業した頃のYちゃんとM君は異性としてのお付き合いはなかったけれど、M君のお母さんがYちゃんのことをとても気に入ったことからとんとん拍子に話がすすみ、二人は結婚することになったのだ。

 

M君は1人息子だった。

だからなのか、誰もが疑いもなく同居という道を選んだ。

ま、M君の両親が同居を希望し、M君は親の希望に沿い、Yちゃんは別居という言葉さえ言える雰囲気ではなかったのだけれど。

結婚当初、お義母さんはYちゃんのことを「娘ができたみたいで嬉しい」と喜んでいた。そして、私のことも「女の子が来てくれると家中が華やいでうれしい」と言ってくれた。

Yちゃんの家と私の嫁ぎ先が近かったこともあり、子どもが小さかった頃にはお互いの家を頻繁に行き来するほどの付き合いをしていた。

あれから40年。

Yちゃんとは最近ではたまにしか会うことがなくなったけれど、今でもずっと仲良くしている。で、その間にお互いいろいろなことがあり過ぎた。

我家は夫の病気と義母のこと。Yちゃんはお義母さんとの関係と介護のこと等々。

 

Yちゃんのお義母さんは何年か前からパーキンソンを患い、認知症の症状も出ていた。

デイケアやデイサービス、ショートステイを組み合わせ、Yちゃんは在宅介護をしていたけれど、M君の手助けはあまりなかった。

最近ではお義母さんの症状がかなり進み、介護も大変だったようだ。ケアマネも「自宅介護はそろそろ限界になってきたかも・・・」と言うようになり、主治医は「家で見られなければ入院を考えましょう」と言うようになっていた。

だけど、Yちゃんは夫であるM君が決断しなければ「自分から入院させることができない」と言い、頑張っていた。

Yちゃんは腰の手術を受けている。パーキンソンが進行し、認知症も進行したお義母さんの介護は心身ともに極限状態に近いところまでいっていたと思う。ま、その前からYちゃんの心の中ではお義母さんを拒否するようになっていたのだけれど。

そんな時、主治医から入院を勧められたそうだ。

Yちゃんは正直、渡りに船と思ったという。だけど、M君が決断しなくては入院してもらうわけにはいかないのだ。

多少の介護の手助けはするものの、Yちゃんに介護の殆どを押し付けていたM君は医師の言葉を聞き、しぶしぶ母親の入院に同意した。

 

お見舞いに伺うと、お義母さんはJ子さんのことは分かったけれど、私のことはすぐには分からず、しばらくしてから思い出してくれた。

だけど、認知症のせいだろう、話していることはつじつまが合わなかったり、聞き取れなかったりでよく分からなかった。

J子さんはとても優しくお義母さんに接し、手をしっかり握りしめ、話しかけていた。

すると、お義母さんはものすごく嬉しそうな表情をみせた。そんな嬉しそうな顔を見ていたら、私はとても不憫に思えてきた。

だけど、所詮私は他人。Yちゃんの家庭のことは分かるはずがない。

入院したからといって放っているわけではなく、毎日、お義母さんの顔を見に行っているというのだから、Yちゃん夫婦が決断した入院という選択は最善のことだったのだろう。 

 

Yちゃんはお義母さんの介護をしたことで将来の自分のことを考え、いい勉強をさせてもらったと言う。

そして「楽にはなったんだけど・・・」と言いながら「まだ家で看ることができたんじゃないか」という思いを未だに拭いきれず、複雑な気持ちを抱えているようだった。

そして、批判されたこともあったようだ。でも、入院を決めたのは医師がその適応だと判断したからなのだ。

だから、私は誰が何と言おうと「良く頑張ったじゃない。それで良かったのよ」と言ってあげたい。ほんとにYちゃんなりに頑張っていたのだから・・・