えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

豊橋妖怪百物語

♪ ♪ ぼうや よいこだ ねんねしな~

  いまも むかしも かわりなく

  ははのめぐみの こもりうた

  とおいむかしの ものがたり~ ♪ ♪

まんが日本昔話が放送される前、我家は夜7時になるとNHKニュースの時間だった。

それがある日、ひょんなことからその番組を観た私は「まんが日本昔話」に嵌ってしまったのだ。

まだ、録画機などない時代だったので、ニュースを見るのか、その番組を観るのかは、チャンネル権を握っていた私にあった。

で、それから毎週、私は7時になるとテレビの前に陣取り、夢中で「まんが日本昔話」を観るようになった。

絵本を見るような絵も然ることながら、常田富士男さんと市原悦子さんが一人で何役もの声を使い分けるという語り口にも引き込まれた。そして、何より日本各地に伝わる昔話というものに興味も持っていた。

どのぐらいの期間観ていたのか覚えてないけれど、知らないうちに見なくなり、知らないうちに番組が終わっていた。

 

私が中学生の頃、通学路にお弓橋という橋があった。

豊川(とよがわ)下流の朝倉川に架かる木造の橋で、当時はまだ川の護岸工事もされていなかった。

小学生の頃にはその橋の下で水浴びをしたり、竹箕や四手網で魚を獲ったりしてよく遊んだ。

6月ごろにはホタルが舞い、七夕のあとには笹飾りを流したり、年末には障子を川まで持って行き、橋の下で洗ったりもした。

 

そのお弓橋には「お弓橋伝説」があると、中学生になってすぐに同級生から教えてもらった。

なんでも、お弓さんという娘さんが叶わぬ恋に身を投げて、それから幽霊が出るようになったとか・・・

 

今年の2月半ばに「豊橋妖怪百物語」という本が発行された。

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地元紙や地方ニュースで紹介され、面白そうだと思ったけれど、なかなか買いに行けなかったこの本。やっとこの間、手に入れることができたのだ。

豊橋妖怪」とは?

豊橋妖怪」には、豊橋に伝わる妖しいモノ、怪異なコト、だけでなく、神さま、お地蔵さま、観音さま、幽霊たちが登場する。豊橋の『怪』が勢ぞろいである。・・・・・・

・・・・・・一般的もしくは学術的な「妖怪」の定義やイメージで、「豊橋妖怪」を捉えようとすると首をかしげてしまう人も多いだろう。しかし・・・・・・「常ならざること」=「怪」がいつの時代にかここ豊橋で実際に起き、何百年もかけて現代まで語り続けられてきた・・・・・・それらのすべてを含んだ新たなカテゴリーを「豊橋妖怪」と名付け、定義づけた。・・・・・・」

ま、地元に伝わる民話だ。だけど百話もあるなんてすごいと思う。

まだすべてを読んではいないけれど、地名の由来も分かったりして、とても興味深い。

そして、なんといっても面白い。

先に書いた「お弓橋」も載っていたけれど、私の記憶違いで、出るのは幽霊ではなく怪火(人魂)だった。

もちろん、私は見たことがないけれど・・・

そして、お弓さんのお墓が実在していることも初めて知った。しかも、子どもたちが通った保育園のお寺にあったとはびっくりだった。

 

私は市原悦子さながらに、毎日2話づつ夫相手に声を出して読んでいる。

一冊の本をそんな風に読む。「そんな日常もまた楽し・・・」と私は一人で楽しんでいるのだ。