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えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

楽しみができると頑張れる

38年も一緒に生活していると、相手のことは大体分かる。

何が好きで、何が嫌いなのか。これは人に対しても、食べることに関してもだ。

そして、どういう時、あるいはどういうことで喜び、また怒るのか。こんな時はどんなふうに考えるか・・・等など。

ま、会話はなく「メシ、フロ、ネル」だけでは分からないかもしれないけれど。

 

夫が倒れる前、私たちは話し始めたらいつまでも止まらないような夫婦だった。夫に対して「あなたのことは150%分かる」と言うぐらいに良くしゃべっていた。ま、単純で分かりやすい人だからかも知れない。実際にはどうなのか分からないけれど。

だから、話すことができなくなった今でもだいたいのことは分かると思っている。

 

夫はテレビが好きな人ではなかったけれど、相撲と絵の番組と世界遺産みたいな番組は見ていた。

だけど、今は高次脳機能障害のため自分でテレビのリモコンを操作することができない。だから、自らテレビをつけることはないけれど、相撲と絵の番組と世界遺産みたいな番組以外でも、興味がありそうな番組は大体わかる。そんな時、リアルタイムで見ることができればテレビをつけているし、見られない時には録画して後で一緒に見ようと誘うようにしている。

 

この間の日曜日、530運動が終わってから、録画しておいた日曜美術館を観た。

日曜美術館は毎週録画をしているけれど、画家によっては全く興味を示さないこともある。だけど、この間は『ひとり“命”の庭に遊ぶ ~画家・熊谷守一の世界~』というものだった。

熊谷守一なら絶対に興味を示すはず」そう思ったら案の定、食い入るように見ていた。

 

もう10年以上前、いや15年以上前かも知れないけれど、二人で熊谷守一さんの展覧会を見に行ったことがある。たぶん、名古屋だったと思う。

展覧会のあと、どんな話をしたのか全く覚えがないけれど、前々から好きな画家だったのだと思っている。興味がないと展覧会に足を運ぶことはまずないし、絵はがきを買うこともないから。

 

これはその時買ってきた絵はがきだ。他にも何枚か買ったけれど、友人に出してしまったので手元にはこの2枚しか残っていない。

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上の絵は百日草。やっぱりいいよね・・・

ねこは好きみたいで何枚も描いている。

自宅の雨戸や障子に仕掛けを作り、飼い猫だけでなく、のらも自由に出入りできるようにしていたというのだから、よっぽど好きだったのだろう。そして、生まれた時から目が見えなかったみけねこを特にかわいがっていたそうだ。だからなのか、絵は かわいいものではないけれど、何となく愛情を感じるような気がする。

番組で初めて見た2歳の子どもを亡くした時の絵はものすごく強烈で、21歳だったか22歳の娘さんを亡くした時の焼き場の帰り道の絵からは言いようのない悲しさが伝わってくる。また、雨の雫を描いた絵は観ているだけで楽しいというか、幸せな気持ちにさせてくれる絵だ。

ゲストのナガオカケンメイさんは「絵なのか、絵本なのか、イラストなのか分からない。子どもの気持ちに戻れ、浄化されたような気がする」と言っていたけれど、私もそんな気がするのだ。

 

守一さんは70代で大病をし、その後はほとんど外出をすることなく、自宅の庭で大半の時間を過ごしていたそうだ。夏はむしろを敷いて横になり蟻や鳥や雨の雫を眺め・・・

本当に書きたいと思わなければ絵は描けないというけれど、人が何でもないと思うようなものまで、感じたままに絵にしてしまう観察力と想像力はすごいものだと思う。

抽象のように見える絵もあるけれど、それも具象。とことん突き詰めるとそのような絵になるのだろう。いずれにせよ心に残る絵だと思う。

 

今は四国と豊島区で展覧会を開催中だ。そこまでは遠くて行くことはできないけれど、9月になれば岐阜県美術館で『守一のいる場所 熊谷守一展』を開催予定だ。

岐阜県美術館なら夫のトイレ休憩を入れても2時間半あれば行けると思う。

これでまた、9月までの楽しみがひとつ増えたと思うとうれしくて、頑張ろうという元気が湧いてくる。