一昨日は、昨日車で遠出したいがために早々と床に就いた。
そして、昨日は出かけて疲れ果て、またもや早くに寝てしまった。
それでも疲れはまだとれないでいる。だけど、それは肉体的な疲れだけで、心の方は至って軽やかだ。
今年の6月初め、NHKの日曜美術館で『ひとり“命”の庭に遊ぶ ~画家・熊谷守一の世界~』を放送した。その時、9月5日~10月19日まで岐阜県美術館でも展覧会が開催されることを知った。そして、岐阜県で開催されるなら絶対に行きたいと、カレンダーにも手帳にも予定を書き入れ楽しみにしていた。
で、その時こんなことを書いていた。
実は先週の水曜日、岐阜まで観に行きたいと思っていた。だからその前日にも早く寝て体調を整えていた。だけど残念なことにお天気が悪くて諦めたのだ。
昨日は快晴というわけではなかったけれど、天気予報によると「岐阜県で雨が降ることはない」ということだった。
9月は毎年台風の発生件数も多く、雨が降る日が多い月だ。
私が車いすの夫と出かけるためにはお天気であることが第一条件で、土日は避けたいと思っている。そうなると自ずと行ける日は限られてくる。行けそうな日を一度でも逃すと、行けなくなってしまいそうで、昨日は思い切って出かけることにした。
「思い切って・・・」というのは、我家から岐阜県美術館までは高速道路を使ってもナビ情報によると片道2時間はかかるから。夫のトイレ休憩のことを考えると多分3時間以上みておかなければならない。そう思うと、思いきらないと行けないのだ。
それでも「やっぱり行きたい」と思う気持ちが勝り、出かけたのだ。
展覧会は思った通り、とっても良かった。
油彩画が約270点。水墨画や素描、書などは100点以上あり、かなり多くの作品が展示されていた。他にも日記や書簡、遺品などの展示もあり、興味深かった。
油彩は4号ぐらいの作品が多く、2号ぐらいのものや、マッチ箱ぐらいの作品もあった。
私は決して絵に詳しいわけではないけれど、70歳を過ぎてからの作品には何とも言えない不思議な魅力を感じるのだ。
のらねこや鳥や虫たちの命を見つめ、雨の音、風の音を聴き、自然の中で過ごした日々がこうした絵を生み出したのだろうか。小動物へのやさしい眼差しや自然への思いが伝わってきて、画面から音までが聞こえてきそうな気がした。そして、見ている私も穏やかな気持ちになってくるから不思議だ。
以前、愛知県美術館に観に行った時には書や水墨画を観た記憶がなかったけれど、書もとても魅力的なものだった。書の言葉は自身の心の言葉かどうかわからないけれど「お前百まで わしゃいつまでも」という94歳の時の作品にはしびれてしまった。
図録を買おうと思ったけれど、日曜美術館を観てから「気ままに絵のみち 熊谷守一」という別冊太陽を買ったばかりだったので今回はパスした。その代り絵はがきを8枚購入。「雨滴」のハガキも欲しかったけれど残念ながら買いそびれてしまった。
このハガキ、そのうち友人たちのところにみな出して、私の手元には残らないと思うけれど、今は眺めて楽しんでいる。
白猫のストラップは愛知県美術館で開催した展覧会で夫が買った物。猫好きの友人にプレゼントしようと思っていたはずなのに、未だに我家の机の引き出しで眠っていた。
昨日は思った以上に時間がかかり疲れ切ってしまったけれど、心は満たされ、今もまだ余韻が残っている。
やっぱり「思い切って行ってよかった」と思えるホントにいい展覧会だった。