えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

ヘロヘロでへなへなでヘトヘトでくたくた

新聞の投書欄に「終わりの見えないダブル介護」という投稿が載っていた。

投稿されたのは66歳の男性。ご夫婦で94歳の認知症のお母さんと、難病を患う36歳の娘さんの介護をされているそうだ。

お母さんはデイサービスを利用しているけれど、在宅時は常にこと細かな注意が必要で、娘さんは手足にマヒがあり言葉が不自由。そして盲目に近いそうで、全てで介助が必要とのこと。ご夫婦に時間はほとんどなく、下の世話は奥さんがされているようで、奥さんの負担は並大抵ではないという。

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不謹慎ながら、母親が元気であれば、もっと娘のためにがんばる時間がとれるのにとか、娘が病気でなければ、もっと母親も長生きを共に喜べるのに、などと考えてしまうことが多い。

私たちも退職前は登山や旅行、それに絵画を描くなどの趣味を楽しみたい、と夢見ていたが、当の昔にあきらめた。退職後の地域貢献も困難になった。終わりの見えない闘いは厳しいものだ。

そんな中でも、「母親の介護一つ一つがいつかは懐かしい思い出になるんだろうな」と思い、娘の体の状態を見ては、「出来ぬことを嘆くより、出来たことを喜びたい。いつかきっと良いことがある」と自分に言い聞かせながら、きょうも精いっぱいがんばりたい。

こういう投稿を読むと、胸が張り裂けそうな思いにかられ、本当に身につまされる。

 

この方のことは文章の中のことしかわからない。だから想像してしまうのだ。

お母さんの介護はいつから始まったのだろう。

94歳ということは、ダブル介護になって長いのだろうか・・・

娘さんはずっと今の状態だったのだろうか。

金銭面はどうなんだろう・・・

「アルバイト」と書いてあったので、仕事はされているのだろうけれど、定年までは勤めたのだろうか。

66歳だから年金は・・・ と。

 

想像したところで、私に何かができるわけではない。

デイサービスを利用しているということはケアマネがついているということ。だから、家族の負担も考え、ケアマネはアドバイスをしていると思う。だけど、サービスを受けるには金銭面のこともあるし、家族への思いもある。いろんなことを考えた上で介護の形を決めているのだろう。

でも、介護は本当に終わりが見えない。だから、諦めなければならないこともたくさんあるし、不謹慎な思いだって抱くときはあると思う。

私だって・・・

 

我家の場合は私の一人介護だ。

最近では夫が週に3回デイケアに通所するようになったので、私にも自由になる時間はある。それでも諦めていることは多い。だけど、それは自分が今の介護を選択したのだからと自分に言い聞かせている。それでも正直不謹慎な思いを抱くこともあるのだ。

 

デイケアが週3回になってから、夫の生活が変わった。健康な人の生活時間に少し近づいたのだから夫にとってはいいことなのだ。だけど、朝起きる時間が早くなり、それまでは夫が起きるまで1、2時間はあった私の自由時間がなくなった。それだけで私の心はヘロヘロだ。

寝る時間も遅くなった。遅くなったといっても22時にはベッドの中だ。だけど、以前は遅くても21時には寝ていたし、デイケアの日には19時ごろだった。だからもうヘナヘナ・・・状態。

 

夫は自宅の浴槽に入ることができないので、入浴はデイケアでしてもらっている。デイケア以外の日には朝起きた時に私がからだ拭きをしている。だけど、夏になると頑張って自宅でシャワー浴をするようになった。去年ぐらいから夫も要領を得てきたけれど、70キロもの体重の夫のシャワー浴は、我家の浴室の構造が悪いからなのだけれど、正直言って重労働だ。

 

夕食を食べ終えると、最近の私はヘトヘト状態。すぐに片付けてしまえばいいものを、そこで夫のベッドでごろっとなったぐらいならもう動けない。

それでも力を振り絞り片づけをすると、あとは夫の歯磨きの介助と磨き直し。そして最も重労働であるシャワー浴が待っている。それを済ませ、夫が寝てしまうともう本当にクタクタだ。

 

そのほかにもトイレの介助が1日に10回ぐらいはある。夜中も2回は起きる。自分が行きたくなって目覚めるのとは違い、起こされるとグッと疲れてしまうのだ。

 

だけど、これも私が選択した道だ。

なんだかんだ言っても、シャワー浴を済またあとのサラサラになった皮膚を触ると、私も満足なのだから。

今はヘロヘロでヘナヘナでヘトヘトでくたくたで、夫が寝てしまうと何もできなくなってしまうけれど、 それでもやっぱり自分が選んだことだから、力尽きるまで頑張るしかないと思っている。まあ、自分しかいないから頑張るのかもしれないけれど。

 

心の中では、今の時期になると青春18きっぷでどこかに行きたくなってくる。できれば倒れる前のように夫と一緒に行きたいけれど、それはやっぱり無理なこと。分かっているし諦めているけれど、電車に乗って旅に出たいという思いが募るのだ。

今は鉄道地図を眺めながら空想の世界で楽しむようにしているけれど。ここ何年かでこうした楽しみ方もうまくなったものだから・・・