昨年の7月、Eテレの日曜美術館で「木版画 未踏の頂へ~吉田博の挑戦~」を見た。私は恥ずかしながらその時まで吉田博という人を知らなかった。何でも生誕140年とかで、千葉市美術館をかわきりに各地で展覧会が開催されるよう。その時は郡山市美術館の展覧会場での放送だった。
日曜美術館のホームページより
あのダイアナ妃が愛した日本の版画があった!作者は吉田博(ひろし)。もともと水彩画・油彩画で腕をふるっていたが、49歳で木版画の道へ。なぜ?知られざる魅力とは?
水面に写る船の影のゆらめき。山頂に朝日があたる一瞬の光…。ダイアナ妃が執務室の壁にかけていたのが吉田博の木版画。水の流れや光のうつろいを驚くほど繊細に表した。博は大正・昭和に傑作を生んだが、日本ではほとんど知られていない。それはなぜ? 水彩・油彩で才能を発揮していた博は、49歳で木版画を始める。西洋画の微妙な陰影を版画で表現しようという前代未聞の挑戦だった。その超絶技巧を徹底解明、魅力を探る!
テレビの画面を通して観る作品でさえ、まるで水彩画を観るように素晴らしく、
番組に釘付けになってしまった。
あまりに素晴らしかったものだから、観に行けるところはないかと、番組が終わってから巡回場所をネットで調べてみた。すると、郡山の後は今年の2月4日から3月20日まで久留米市美術館。4月29日から6月18日まで上田市立美術館。7月8日から8月27日まで東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館だった。
どこも遠い。だけど、上田だったら駅から徒歩圏内に美術館があるみたいだから行けるかもしれない。それとも新宿か・・・。新宿は一番近いけれど大都会のあの喧騒の中、車いすの夫と中央線に乗る勇気は出てきそうもない。でも行きたい。と思いながら巡回予定を手帳に書いておいた。
それなのに、時が経つとあんなに行きたいと思っていたのに忘れかけていた。ところが、この間の日曜美術館は「吉田博」の特別アンコールだった。前回録画しておいた番組は未だ消していないけれど、再度リアルタイムで観る番組は行きたい思いを再燃させた。
この間、夫と地元の美術館に行った時、展示を観てから全国各地の展覧会のポスターが貼ってあるところに行くと、なんとそこに「吉田博木版画展」のパンフレットが置いてあるではないか。しかも会場は名古屋ボストン美術館。そして、今まさに会期中。
名古屋ボストン美術館は金山総合駅のすぐ隣。ここなら車いすの夫と一緒でも難なく行けそうだ。
パンフレットを見るとMOA美術館所蔵の名作86点を展示と書いてある。全国巡回の展覧会は油彩画や水彩画、スケッチなども展示してあるというから魅力的だけれど、どう考えても遠い。
というわけで、昨日、訪問リハビリをお休みにして名古屋ボストン美術館へ行ってきた。
向こうに置いてあったパンフレットはちょっと違ったのでこちらも載せておくことに。
道中の電車でのこと、昼食やお茶した時のこと、車いすでの外出中に感じたことなどはまたの機会に書くこととして・・・
展覧会は「これが木版画か?・・・」と唸ってしまうほど、素晴らしかった。富士山、グランドキャニオン、ナイアガラの滝、瀬戸内海、光の表現、水の表現、山の表現、木々、建物、それを取り巻く景色・・・どれをとっても水彩画のように柔らかく、繊細かつ優美。そして、どこか懐かしいような郷愁を感じながら、自分自身がその景色の前にたたずんでいるような気さえしてくるだ。
これは美術館でいただいたパンフレット。
左のパンフは3つ折りになっていて、紙も印刷も内容も良い。開いて両面紹介したいぐらいだけれど正面だけ。
こちらは購入した絵はがき。
これが木版画なのだ。
ミュージアムショップには6種類の絵はがきがあったけれど、購入したのは「瀬戸内海集 光る海」(右)と同じく「瀬戸内海集 帆船 朝」(左)の2種類を2枚づつ。2枚づつ買ったのは使うため。ホント、いいよね。