えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

電車に乗ってもう一度

この間、星野富弘さんの「花の詩画展」に行ったことを書いた。

しっかりと目に焼き付けてきたはずなのに、帰るとすぐに「もう一度行きたい」という気持ちが湧きあがってきた。

 

展覧会場は東海道本線豊田町駅から徒歩5分のところにある。二川駅横の駐車場に車を止め、そこから電車に乗れば豊田町駅までは37分か8分で到着する。

行く前、夫に「電車で行かない?」と言ってみた。だけど、夫は首を横に振り、結局は車で出かけた。

夫が倒れてから、私はそれまで大好きだった電車に乗れなくなってしまった。夫が一緒でも思うようにはいかず、一人では時間が限られているだけでなく、事故や遅延が心配で乗れない。だから本当は電車で行きたかったのだ。

 

「会期中にもう一度行きたい」という思いは日に日に強くなっていった。同時に電車に乗りたいという思いも。

月曜日は休館日なので行けるのは水曜日か木曜日。歯医者さんの予約はあるし、第2・第4水曜日はふれあい音楽会がある。行けないかもしれないと思いながらも時刻表を調べたり、毎日のように行った時の行動をシミュレーションしていた。

 

木曜日の朝、起きた時には雨が降っていた。それが夫がデイケアに行く頃には上がり、曇り空。「今日は草取りでもするか」と思いながら夫をデイケアに送り出すとき、送迎車の運転手さんが「今日はこのまま上がるそうですね」と。そして「来週には梅雨に入るらしいですよ」と言った。その言葉を聞いたらもう居ても立ってもいられなくなり、夫がデイケアに出かけるとすぐに二川駅に向かった。

 

駅のこういうところ、好きなんだ。 

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あっ、新幹線だ !! 電車は乗るのも好き。見るのも好き。

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東海道本線は何かの点検のため乗る予定だった9時38分発の電車は20分遅れとのこと。ちょっと不安がよぎったけれど、次の9時56分発の電車が先に来てそれに乗車した。その次の10時10分発の電車までなら行ってこられると確信していたから。

 

二川の次は新所原。お天気が良ければこの辺りで小さく富士山が見えるけれど、残念ながら雲の中。次は鷲津、そして新居町。ここからはしばらく浜名湖と太平洋が見える。弁天島、舞阪、高塚、浜松と続き、ここで乗り換える。国鉄時代は東京まででも1回乗り換えれば行けたのだけれど、JRになってからは乗り換えが多くなった。でも、今の私にはそれも旅情だと思えてしまう。浜松の次は天竜川。ガタンゴトンという音と体に伝わる振動を楽しみながらの37分間の旅。

10時36分、豊田町駅に到着。

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駅の表示を見たはずなのに反対方向に出てしまい、かなり時間をロスしてしまった。

 

豊田町のマンホールの蓋はふじの花。

写真が見ずらいのは藤の花だと気づかずに反対から撮ってしまい反転したから。

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帰りに駅の観光案内板で樹齢200年の長ふじがあるお寺が徒歩30分のところにあることを知った。さぞかし見事だろうと想像し、ふじの花が咲く頃に見に行きたいものだと思った。因みに私の住む市のマンホールの蓋は手筒花火だ。

そんなことも楽しみながら展覧会の会場に向かって歩いた。

 

大家と言われる人たちの絵はもちろんすばらしい。でも、富弘さんの絵は温かくて優しくて穏やかな気持ちにさせてもらえ、何度でも見たくなる絵だと思う。そして、ことば(詩)はいつだって心に響いてくるし、大好きだ。

 

電車にも乗れたし、行って良かった。行けて本当にうれしかった。

木曜日は他にもうれしいことがあったので、私はご超ご機嫌な一日だった。