えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

ご近所の小母さんと甘夏

日曜日の夕方、近所に住む95歳の小母さんから電話があった。

小母さんは風邪をひいているようで、聞き取りにくいほどのガラガラ声で「お願いがあるの。私を助けてくれない?」と言われた。

 

小母さんは同じ敷地内に娘さん家族が住んでいるけれど、一人暮らし。同じ敷地内とはいってもかなり広い敷地なので、娘さんの家は我家の1本裏手の道路沿いで、小母さんの家は2本裏手の道路沿い。そして、小母さんの家と娘さんの家の間は畑で、50坪ぐらいの家なら4、5軒ぐらいは建つスペースがある。

 

すぐ近くに娘さんがいて、仲良く暮らしているのに私に「助けてくれない」なんて言われると「何があったのだろう」と、一瞬ドキッとした。でも、話を聞いてみると、小母さんにとっては真剣なことかもしれないけれど、私には小母さんらしいと、笑えるようなことだった。

 

それは、 

日曜日は暖かかったけれど曇り空で、時々小雨が降るような日だった。小母さんは風邪をひいていた。

庭には大きな甘夏の木があり、実がたわわになっていて、それが食べごろになった。だけど、天気も悪いし、風邪もひいている。しかも、95歳という高齢で、杖をついて何とか歩いているような感じ。なので、娘さんから「絶対に採ってはいけない」とくぎを刺されたという。でも、内緒で採って、というより落としたそうだ。落としたもののそのままにしてはおけず、私に貰ってほしいと電話をしたということだった。

 

ちょうど夫のトイレ介助を済ませたばかりだったので夫に電話のことを話し、すぐに小母さんのところに行った。小母さんは右手に4点杖、左手に1本杖を使い玄関の前で待っていた。そして、一緒に甘夏の木のところまでゆっくりゆっくりと歩いた。

 

木の下には大きな実がごろごろと落ちていた。あの状態ではたぶん1点杖で叩き落したのだろう。持って行ったビニール袋に全部詰めると小母さんは全部もらってほしいと言った。そして、「ご近所さんに配ると娘にバレて叱られるからご近所さんには配らないでほしい」、「娘があなたのところにまた持って行くかもしれないけれど、その時は知らん顔してもらってほしい」と頼まれた。自分が欲しくて採ったわけではなく、もったいなくて放って置けなかったのだろう。ありがたくいただいたものの、正直ビニール袋いっぱいの甘夏を手に少々困惑した。家で数えてみたら25個もあったのだから。

 

甘夏は嫌いではないし、そのまま置いておいてもかなりもつ。けれど、数か月前から

指の関節が痛くて剥くのが辛い。甘夏の皮を剥く道具もあるし、包丁で剥いてもいいけれど、それでも剥くのが辛い。折角いただいたのだからと剥いてみたけどやっぱり辛かった。

でも、ご近所さんには配れない。私のまわりで甘夏を喜んでくれるのは兄嫁さんだけ。

月曜日はあれをして、あそこに行き・・・

水曜日はあれをして、あそこに行き・・・

木曜日は・・・

と、頭の中は年末の予定がぎっしり詰まっていたけれど、甘夏をそのままにはできず、兄に貰ってもらおうと電話してから持って行った。

 

大幅に予定が狂ってしまったけれど、小母さんの安心した顔を思えば「まあ、良いっか・・・」と思う。それに、兄嫁さんも喜んでくれたし。

 

先週の木曜日に咲き始めた椿。

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今年は我家のどの椿も成績がいい。