えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

「似顔絵ッセイ展」に行ってきた

9月は予定がぎっしり詰まっていた。

それらを一つづつ片付け、やっと10月に突入した。

と思ったのに、10月は9月以上に予定がぎっしりだ。その中にはもちろん楽しいことも含まれている。だけど、楽しみにしていたことを一つ、二つ、諦めなければならないほどだ。現に、一つは諦めた。

 もう一つは、20年以上も毎年楽しみにしている内藤勲さんの「似顔絵ッセイ展」なので、思い切りが悪く、諦めきれず、何とかならないかと思案し続けていた。

  

2日は簡単リメイク講座だった。3日も忘れてしまったけれど、何かがあった。7日は自分の眼科受診。9日はシルバー人材センターの人がやっと生垣の刈り込みと庭木の剪定に来てくれた。10日は夫の脳外科受診(デイケアはお休みした)・・・と続いた。そして、12日は大型の台風が来てダイヤが乱れ、13日は晴れたけれど東海道本線は平常運転だと思ったら人身事故でかなり遅れたらしい。14日の祝日は雨の予報。台風の後の雨ではダイヤはどうなるかわからない。今週は美容院の予約と友人との約束が入っている。会期は1日から20日まで。14日に行かなければもう行くことはできない。

 

場所は蒲郡市立図書館。
我家からだと車で片道1時間ぐらいの距離にある。何度も行っているので場所は分かる。だけど、最近は車で遠くまで出かけるのが億劫になってきた。だから、行くのなら電車で行こうと思っていた。

悩んで、悩んで、迷って、迷ったけれど、それでも行きたかった。

テレビでは台風の被害状況を写していた。楽しみだったからと出かけていいものだろうかと思う。それに雨が降っていた。けれど、やっぱり行きたかった。

 

14日の朝、JRの運行状況を確認したら平常運行。もう迷うことなく、家を飛び出した。

 

市内電車に乗って、JRに乗って、ちょっとした旅の気分になった。

だけど、一級河川の豊川(とよがわ)を渡るとき、こんな川の堤防が50cm決壊した所とか、70cm決壊した所があるというニュースを思い、心が痛んだ。

蒲郡(がまごおり)に近づくと、三河湾が見える。晴れた日は青くきらきら光っている海はやはり濁っていた。また、台風の被害状況が頭をよぎった。

 

蒲郡へ電車で行ったのは初めてだった。事前に道順は調べてあったけれど、駅に着くと一応観光案内書で道順を聞いた。

で、教えていただいた通りに歩いたはずだった。なのに、「何だか変だなあ・・・」と思い始めた時にはかなり離れたところまで歩いていた。少し戻り、きょろきょろしていたところ、中学生ぐらいの男子が自転車で私の方に向かってきた。それまで人に会うこともなかったので思い切って聞いてみた。すると、やはり真っ直ぐに歩くところを左方向に歩いてきたことが分かった。この時点で「駅からタクシーにすればよかった」と思ったけれど、ネットで検索した時に徒歩で12分とあったので歩くことにしたのだから仕方がない。結局、彼には詳しい道順は聞けず、戻ることにした。 

 

行く方向を定め、誰かに会ったらもう一度道を尋ねようと思いながら歩き出した。それにしても人に会わない。しばらく大通りを戻り、住宅がある方に向かってみた。すると、住宅前の駐車スペースに車が入り、50代と思われる女性が車から降りたので聞いてみた。

その女性はちょっと困惑した表情で「かなり離れているから歩くと20分以上はかかると思いますよ」と言われ、見ず知らずの私なのに車で送ってあげるとまで言って下さった。

「方向だけ教えて下されば歩きますから」と言う私に「図書館の隣にあるJAまで行く用事があるから送りますよ」と何度も行って下さり、結局、送っていただいた。

こんな親切な方がいる蒲郡、私は一瞬にして大好きになった。

 

そして、無事に 内藤勲さんの「似顔絵ッセイ展」を見ることができた。

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 今年は昨年度の展覧会で募った似顔絵リクエストの作品(樹木希林・根尾昻・ザ・ビートルズ)を合わせ、16作品が展示されていた。他にも、以前の作品が何点か額装なしでガラスケースの中に展示してあった。

 

内藤さんの作品はいつもながら笑顔ばかりでやさしい。エッセイも、似顔絵に劣らずやさしい。似顔絵を見て、エッセイを読んでいると、いつの間にか私まで笑顔になっているような気がする。そして、知らなかった人まで好きになり、エッセイの中に書いてある本を読みたくなる。本屋さんに行った時、きっとその中から一冊は買うと思う。

 

一番心配していた「電車が止まって帰れなくなる」こともなく、無事に行ってくることができた。

念願の電車にも乗れたし、「エッセイ展」に行けたことはもちろん、親切な方に出会えたことがとてもうれしく、忘れられない1日になった。本当に、感謝・感謝の1日だった。