夫は結婚した当初から食べ物に文句は言わない人でした。
何でも食べてくれたし、残すなんてことは滅多にありません。
それどころか、えむこの分まで手を伸ばし、食べてしまうぐらいの人だったのです。
だからって、えむこは「料理がすご~く上手」というわけではないのですよ。だって、家事の中では料理が一番苦手だし、作るものはいつも決まったものばかりだったから・・・
倒れる前は、
平日の朝食は、ほとんどご飯とみそ汁。
夫が「日本人の朝ごはんは、ご飯とみそ汁に決まってる・・・」なんて言うし、ご飯もみそ汁も大好きで、それを望んでいたからね。
昼食はえむこが働いていたから、夫は自分で作ったり、ランチに行ったりしていました。
でも、麺類やカレーが多かったみたい・・・
麺類は素麺、冷麦、うどん、そば、スパゲッティー、ラーメンと何でも大好きで、カレーはもっと好きだったみたいです。
若い頃には「朝・昼・晩、3食ともカレーでいい」って言ってたぐらいだから・・・
休日の朝食は、パンだったり、喫茶店にモーニングに行ったり。
昼食はやっぱり、麺類が多かったですね。
時々は2人でランチにも行ったけど、行先はうどん屋さんが多かったから。
夕食は、休日には一緒にスーパーに行って、夫の食べたいというものを作っていたけど、平日はえむこの好きなように作っていたのです。
メインは、
魚なら刺身か、塩焼きか、煮つけか、照り焼き。
肉なら生姜焼きか、しゃぶしゃぶ風か、照り焼き。
豆腐ならやっこ、味噌かけ、湯豆腐風、鉄板焼き風・・・
あとは、
野菜の煮物か、炒め物。和え物、酢の物、サラダ・・・
ちょっと言うのも恥ずかしいぐらいだけど、種類と組み合わせを変えるだけの簡単なものばかりでしたね。
それでも夫は、いつもおいしそうに、食べてくれていたのです。
だけど、ただ1つだけ、夫に文句を言われたことがあるのですよ。
それは、夫は香辛料が結構好きだったけど、えむこが苦手だったので、家には置いてないし、もちろん使わなかったから。
夫はね「うどんやみそ汁に一味を入れたくてもない。一味違うのに・・・」って・・・
でも、食べる時には「これはおいしい・・・」とか「これはいまいちだ・・・」と、いつも言ってくれたので、夫の好みだけはしっかりわかっていたと思うのです。
それが、倒れてからは・・・
あんなに好きだったカレーは喜ばなくなったのです。
「カレーにしようか?」っていうと、たいてい首を横に振ってイヤだって意思表示をするのです。
みそ汁、然り・・・
麺類も・・・
香辛料も全然ダメになってしまったのですよ。
年を取ると、食事の好みや、味の好みは変わってくるけれど、夫の場合はちょっと違うみたいなのですよね。
口の中も麻痺していることから、味覚を感じる神経の影響なのでしょうか・・・
今は「これが食べたい・・・」とか「これは嫌だ・・・」って言えないから、夫の好みが(味覚が)どう変化しているか分からないのです。だから、何が食べたいのか手探り状態なのですよね。
しかも月・木の昼食以外はすべて家でえむこの手作り。
ランチに行くなんてこともないし、買い物も自由じゃないから、ちょっと大変なのです。
夫は、今でも出したものを残すことはないけど、明らかに食事の時の表情が違うのですよね。
夫がおいしそうに食べてる姿を取り戻したいな~。
しかも簡単にできるメニューでね。