夏に帰省した息子がHONZという書評サイトを教えてくれました。
HONZは小説を除くすべての本を対象に、3ケ月以内に出版された新刊書のレビューを載せています。もう次から次に・・・
本好きの人たちが自分が読んで良かったと思う「おすすめの本」のレビューだけあって、とっても面白いのです。
えむこは夫が病気をしてから読んだ本といったら、脳出血の本、失語症の本、リハビリの本、脳出血後の闘病記や家族の書いた本という類の物だけでした。
少し心に落ち着きが出てきたころだったのでしょうね。そのサイトのレビューを読むのが毎日の楽しみになったのです。
そして、今回読了したのはそのサイトのおすすめ本の一つ。
- 作者: 永田和宏
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/07/20
- メディア: 単行本
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でも、2か月もかかっちゃった~
まるで新聞小説でも読んでいるようなペースですね。
えむこにはレビューなんてもちろん、感想文だって書けないけれど、それでも一言ぐらいは書いておこうなんて思ったのです。
えむこは河野裕子さんのことは有名な歌人という程度の認識しかありませんでした。著者の永田和宏さんも同様、有名な歌人であり、朝日歌壇の選者であることぐらいです。
歌に関しても、学校で習った程度の知識。ただ、朝日歌壇は毎週楽しみに読んでいるので選者の名前だけは知っていたのです。
この本は妻である河野裕子が乳癌の宣告を受けてから亡くなるまでの10年間の話なのですが・・・
えむこは看護師だった頃、外科病棟や外科外来に勤務中は乳癌の患者さんやそのご家族と接することがよくありました。
そして、癌の宣告を受けるその瞬間や再発の告知の時に立ち会うことも・・・
そして、その後はいつも対応に悩んでいました。
手術の前には不安に寄添い・・・
でも、癌患者さんもそのご家族も、宣告から死までの期間はどうしようもない不安と闘いながら暮らすことになるのです。
えむこもがん患者の家族だったので痛いほどに、そんな気持ちが伝わってきます。
河野裕子さんも逃れられない不安でいっぱいだったのでしょう。永田和宏さんも・・・
それを妻は夫に怒りという形でぶつけ、夫はその対応に苦しむ。
でも、どんな状況になろうと、歌が二人を強い絆で結びつけていたことが伝わってきます。
そしていよいよ最期の時が近づき、痛みが酷くなってもモルヒネを増量することなく歌を作り続けた。夫もモルヒネの増量によって意識を混濁させることを断り歌を作らせた。妻が自分らしく最後の時間を生き切ることができるようにと・・・
その残された歌に著者は泣くことになるかもしれないけれど、それはやっぱり2人の、いや家族の宝物になるだろうと思うのです。
手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が 裕子
切ないなあ。人間は誰しもいつかは死んでいくものだけれど・・・