えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

行けると思うけれど・・・

何度も書いているけれど、我家はEテレ日曜美術館という番組が大好きで毎週観ています。観られなかったり、途中で中断を余儀なくされることもあるので録画もしているぐらいです。

その番組の後半15分はアートシーンと称し、全国で開催されている展覧会情報を紹介しています。私はそのコーナーも楽しみで、行けるところがあれば行きたいと思いながら観ています。

 

今日のアートシーン。初めの展覧会情報は安野光雅さんのものでした。

安野光雅さんは原画を観たことがないけれど、好きな画家のひとりです。我家には30年ぐらい前に買った「安曇野」というスケッチ集があるのですが、いつも原画が観たいと思いながら眺めていました。そして「安野光雅美術館」が島根にできた時「絶対に行こうね」と夫と話していたのですが、思いが叶う前に夫が倒れてしまったのです。

 

アートシーンで紹介していたのは東京日本橋の高島屋で開催中の「安野光雅が描いた御所の花展」というもの。水彩画130点の展示だそうで、その映像を観ただけで「原画を観に行きたい」と思うほどすばらしいものでした。

夫に「観たいね。観に行かない?」と言うと、にこっと笑って首を縦に振るのです。

東京で開催されるのは9月9日まで。その後は来年、京都や大阪の高島屋でも開催予定となっていました。

番組が終わってから、私はネットで調べまくりです。

それで、行くなら東京日本橋の高島屋が一番いいと分かりました。東京駅八重洲口から徒歩5分で行けるデパートなので、新幹線に乗れば1時間半で着き、後は徒歩だけだから。

豊橋を何時の新幹線に乗って、何時に着く。それから・・・ と、夢は広がります。東京駅の多目的トイレはどこにいくつあるか、天気はどうか・・・ 等など、それこそ調べることができるだけ調べていたのです。はじめて電車を使うならこれぐらいが一番いいのかもしれないと思いながら。

そうしたら、途中から「夫は行かない」と言い始めました。私としては何で???というぐらいショックな反応でした。

夫が首を縦に振った時点では行きたいと思ったはず。私は展覧会はもちろんのことだけど、初めて新幹線に乗れると思ったし、これで、二人とも外出の自信がつくかもしれないと期待したのだから。

車いすで新幹線を利用するには2日前までに緑の窓口に行くか、電話で依頼しなくてはなりません。明日、切符を買ってしまおうかな・・・

 

安野光雅さんの御所の花を描いた水彩画はきっとすばらしいものだと思います。

でも、雨でも降って行けなかったとしたら・・・

辰野金吾氏が設計した東京駅を観てくるだけでもいいじゃないか」なんて思ったもするのです。雨だったら、それも無理かもしれませんけれど、東京駅の中「キッテ」の散策でも・・・

そんなことを思っていても何も始まりません。もしも、行くことができず、切符を払い戻すことになり金銭的に損をしたとしても挑戦する意味はあると思います。

夫が急に「行かない」と言ったわけは、金銭的なものでもなく、ただただ不安なだけみたいでした。「トイレはここにあるから大丈夫」と説明したけれど、やっぱり不安は拭い去ることはできません。

無理して行くこともないけれど、行きたいと思いながら我慢することもないと思うのです。もちろん、金銭的に問題がなければのことだけれど。

夫が頑張るか、私が我慢するか。

行ってみれば夫は絶対に「良かった」と思うと確信しています。

でも、無理やりにはできないから悩んでしまうのです。