えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

久しぶりの遠出

朝起きると、窓の外には青空が広がっていた。

庭に出ても寒くない。風もないし、数日前の寒さは何だったのだろうというぐらいの暖かさ。じっとしててはもったいないような日曜日だ。

とはいえ、外出するのは夫のお通じ次第という我家。

もしもお通じがなければ「運動公園に紅葉を見に行くだけでもいいか・・・」と、思っていた。運動公園というのは我家から歩いても20分ぐらいで行ける公園のこと。

それが午前中のうちには・・・・・・だったのだ。

お昼ごろには 雲が広がってきたけれど、雨が降ることはなさそうだ。せっかくなので、この間から行きたいと思っていた碧南の藤井達吉現代美術館まで出かけることにした。http://www.city.hekinan.aichi.jp/tatsukichimuseum/

目的は「彫刻家 高村光太郎展」生誕130年の企画展だ。

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ここは平成20年に開館した美術館。開館当初に夫と行った事があるので、今日が2回目になる。

我家からナビによると1時間35分。朝が遅かったので、昼ごろだったけれど、美術館内にある「喫茶麦の家」のランチに間に合うように出かけることにした。

道中は銀杏並木や欅の街路樹の紅葉を楽しみ、蒲郡ヨットハーバーの辺りでは左手にキラキラ光る穏やかな三河湾を眺め、三谷の辺りでは右手の山の上に弘法大師像を眺めながらのドライブです。途中、蒲郡の市民館でトイレをお借りしたので、2時間かかって美術館に到着した。

まずは、予定通り「喫茶麦の家」でランチをしてから企画展を観ることにした。もう15分もランチの時間は過ぎていたけれど、野菜たっぷりのスープランチだったら(名前は忘れてしまった)OKとのことだったので、それを注文した。小豆入りの玄米ご飯かパンを選べるということで、夫はご飯、私はパンにした。スープや煮込んだ肉の味はよく分からない味だったけれど、体にはとっても優しいものだったと思う。そして、夫が注文した小豆入りの玄米ご飯と私のパンはものすごくおいしくて、デザートのシフォンケーキもすごくおいしかった。最後にたっぷりのコーヒーをいただいて、企画展へ。

企画展はさすが高村光太郎という感じ。具体的な言葉で表現できないけれど、彫刻は立体的なので、力強く、元気が出てくる。それに、何だか魂に迫ってくる気がするのだ。

展覧会は光太郎の彫刻だけでなく、ロダン、萩原守衛、中原悌二郎等などの作品に、智恵子の紙絵もたくさん展示されていて見応えがあった。

夫は言葉で表現できないけれど、自分で観たいと思う時は車いすのフットレストから健側の足を下し、自分で車いすを足こぎする。だから、興味の有無がすぐにわかる。そして、この展覧会は足漕ぎしていたから、よかったのだと思っている。

私たちは福祉の恩恵にあずかり、無料で企画展を観させていただいた。有難いことだと思いながら、その分で図録とハガキを買ってきた。ハガキは光太郎のもの3枚と萩原守衛のもの3枚を。

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美術館のある碧南市には夫の学生時代の友人が住んでいる。もう、10年以上も会っていないけれど、若い頃にはよく会っていた友人だ。

それで、企画展を観終わってから、電話をしてみた。喫茶室で夫と話をしていた時、夫が「会いたい」と言ったので、もしも家にいたら、顔だけでも見たいと思ったのだ。この機会を逃したら、もう一生会えないような気がして。

幸い、友人は家にいて、会うことができた。だけど、夫はよそ様の家に上がることはできない。だから、家の前の駐車場でしばらく話しをするだけ。それでも、友人と奥さんの顔を見ただけで、すごく嬉しそうな夫の笑顔を見ると、私まで嬉しくなってきた。

今日は観たいと思っていた企画展に行くことができた。そして、旧知の友人とも会えた。

帰り道、まんまるのオレンジ色に輝く大きなお月さままでがにこにこ笑っているように見えた。「今日はほんとにいい一日だったね」と、私に言ってくれてるようで。