えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

じじばばの雨の一日

予報通り、朝起きると雨が降っていた。しとしとしとと。

まあ、しとしとでもザーザーでも外に出られないことには変わりはないのだけれど。

こんな日は夫と二人、家で静かに過ごすしかない。だけど、あんまり静かすぎるので夫に「CDをかけて」と言ってみた。

夫は退院当初、ミニコンポの操作も忘れてしまったのかできなくなっていた。それが今では何とか操作できるようになったのだ。とはいえ、高次脳機能障害が残った夫はその操作も忘れてしまうことがあるようで、時々違うスイッチを押してはやり直している。だから、これもリハビリだと思いながら「かけてくれる?」と言うようにしている。

夫はCDのケースからその時の気分で選曲している。だからクラシックの時あり、シャンソンやジャズの時もある。懐メロに歌謡曲、ニューミュージックと言われたものやアニメソングの時もある。そして、フォークにバイオリン等など・・・

今日は久しぶりに歌謡曲の日だった。友人が夫が好きだったと言って作ってきてくれた裕次郎の歌の数々。歌謡曲と言っても懐メロになるのかもしれないような曲ばかり。

そんな音楽を聴きながら、私は新聞を読んだり、本を読んだり・・・

 

この間、J子さんから本を3冊借りてきた。

1冊はJ子さんがたまたま本屋さんに行った時に目に付いて買ってきたという「置かれた場所で咲きなさい」という本。著者はノートルダム清心学園理事長の渡辺和子さん。

それと、相田みつをさんの「にんげんだもの」

もう一冊は いま出逢う ふたつのいのち 星野富弘相田みつを 花の詩画と書の世界 図録[ふたりの渡良瀬川]というもの。

最初の一冊は「もう読んでしまったからえむこさんに貸してあげる」と言うことで借りてきた。あとの2冊は借りてきた時には気づかなかったけれど、実は読んだことがあった。図録の方は二人とも忘れていたけれど、J子さんが展覧会に行った後、私にもお土産に買ってきてくれたので我家の本箱にもあったのだ。

借りてきてから、もう3冊とも読んでしまった。だけど、こんな日は図録を夫にも見せながら再読がいい。私たちは以前から相田みつをさんの書も詩も、星野富弘さんの詩画も大好きだから。

去年は東京の相田みつを美術館に行って来た。富弘美術館にもできた当時から行きたいと思っていた。

図録の書を見て、詩を私が音読。そして絵を眺め、詩を音読。小さな字で書かれた文章も私が音読して夫に聞いてもらった。

以前書いたように夫には感情障害がある。だから、富弘さんのことを書いた文章を読むと目に涙がいっぱい溢れてくる。そして、嗚咽とまではいかないけれどそれに近い声まで漏れてくる。

「富弘美術館に行きたいね」と言うと、何時だって頷く。私も行きたいけれど、車いすの夫と遠くて辺鄙な場所には難しいかも。

でも・・・

「そのうちに頑張って行こう」と私が言い、夫は頷いて今日の一日が終わった。