えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

におい

人に接する時、何某かのにおいを感じることがある。

 35歳頃、近くの耳鼻科でパートとして働いていた。その時、やはり30代ぐらいの女性患者さんが通院していた。その方が帰った後、先生が「いい匂いがしたでしょ」と私に言った。先生が言うにはその方はパン屋さんだったかお菓子屋さんだったか忘れたけれど、そういうところに勤めているとか。確かに甘いおいしそうな匂いがしていた。

そんな匂いならいいのだけれど、嫌な臭いを感じることも多い。

 

子どもの頃のこと。

近所の魚屋さんちのさっちゃんは同級生。小学校から高校まで同じ学校だった。さっちゃんはお母さんに「魚の生臭い臭いが体に染み込んでしまうから魚屋は嫌い」と言ったとか。中学生の頃、さっちゃんのお母さんから聞いた。私はさっちゃんからそんな臭いを感じたこともなかったし、さっちゃんがそんなことで苛められたこともなかったと思う。

 

夫は「臭い」という言葉が嫌いだった。まあ、好きだという人はいないだろうけれど。

20年ぐらい前、一度だけ友人から「はくさい(歯臭い)って知ってる?」と言われたことがある。その後はしばらく大変だった。朝・昼・晩以外にも出かける前には歯磨きをして、私にハーハー息を吹きかけては「臭う?」と聞いたりして。出かけない時にも一日に何度も「臭う?」と聞いていた。

そんな夫だから、最晩年の義母のにおいには敏感に反応していた。ポータブルトイレを使うようになった義母の部屋には換気扇をつけ、消臭剤も切らすことなくベッドサイドに置いていた。もちろんポータブルトイレを使用後はすぐに片付けもしていた。それでもやっぱりわずかな尿臭は残っていた。けれど、義母は94、95歳。尿取りパットを使っていたし、私は多少のことは仕方がないと思っていた。だけど、夫はいつも臭いのことばかり気にしていた。

急性期病院に勤めていた頃のこと。

お年寄りの患者さんの病室に入ると加齢臭が鼻を突いてくることがあった。寝たきりだったりすると、それに尿臭が加わることも。毎日、体を拭き、おしももきれいにしても、消臭剤を置いても消えることはなかった。でも、それは仕方がないことだと受け入れていた。

 

夫を介護するようになって、私はにおいにより敏感になった。

夫は排泄は基本的にトイレを使っている。夜中だけは尿器を使うけれど、それも使うたびに片付け、洗浄している。だから、多分尿臭はしないと思っている。

入浴は自宅の風呂には入れないのでデイケアで週2回だけ。だけど、夏は頑張って毎日シャワー浴をしている。私としては頭の先から爪の先まできれいにしているつもり。シャワー浴では寒い時期には毎朝体を拭いている。沸騰したお湯で顔用のハンドタオルと上半身用、下半身用、下用のタオル3枚を準備して、指の間も爪の先まで拭いている。

洗髪はデイケアの入浴時と私が時々。

着替えは下着や靴下は毎日洗濯したものに着替えている。上着やズボンは夏は毎日だけど、今の時期は2回ぐらいは着ている。

歯磨きは夫が自分でした後、残っていることや磨き残しがあるので私がもう一度している。

石鹸やボディーソープは柿渋入り。歯磨き粉はなた豆・柿渋。シャンプーは持田製薬のフケにフルフルとういやつで洗った後、柿渋シャンプーででもう一度洗う。

これだけやれば臭わないはずと思っていた。

でもこの間、寝ようと寝室に入った時に何だか加齢臭みたいな臭いを感じてしまったのだ。そして、今朝も。僅かな臭いだったけれど・・・

だけど、どこから臭うのかよく分からない。それで、頭から順番に臭いを嗅いでみた。でも、分からなかった。寝ている時しか感じないから、体の中からなのだろうか。それとも、週に2回しかお風呂に入れないからだろうか・・・

今日はそっとベッドサイドの目立たないところに消臭剤を置いてみた。そして、トイレに座った時に石鹸を使ってしもをきれいに洗ってみた。

これで臭わなければいいけれど、もしも少しでも臭うようならば、また対策を考えなければ。加齢臭がして「臭い」と思われては夫があまりにも気の毒だから。