えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

一冊の本

数日前に本を買った。去年の10月からずっと欲しいと思っていたけれど2940円の本は私の手にはなかなか届かなかった。

本は決して高いわけではなく、それだけの価値は十分あると思っている。ただ、私の懐具合がというだけのことで。 

画廊の隅から 東日本大震災チャリティ・イラストレーション作品集

画廊の隅から 東日本大震災チャリティ・イラストレーション作品集

 

この本のことを知ったのは以前書いたけれど、10月に蒲郡図書館で開催された「内藤勲似顔絵ッセイ展」でのこと。内藤さんが描いた和田誠さんの似顔絵に書いてあったエッセイから。

 

和田誠さんは昔よく読んだ星新一さんの本で お馴染みだった。今は購読している朝日新聞で連載中の「三谷幸喜のありふれた生活」というエッセイの挿絵を描いているので毎週楽しみに見ている。和田さんの絵はやさしくてホッと温かい気持ちになれるので私は好きなのだ。

この本は絵を観ているだけでも温かい気持ちになるけれど、ここまでに至った経過を読むと感動すらする。

東日本大震災後、何かできないかと始めたチャリティー・イラストレーション。

表参道にあるHBギャラリーの奥に小さな控室があり、冷蔵庫の上の天地65㎝×幅93センチの小さな壁に2011年4月から「和田誠東日本大震災チャリティー・イラストレーション・コーナー」とネーミングされた特設コーナーが告知なしに始まったという。そして、毎週、週替わりで和田さんが描いたハガキサイズのイラストレーション原画10枚がそのスペースに展示され、趣旨に賛同した購入者が一万円の義援金をあずけ、一枚の原画を求めることができる。そして、その絵が500枚になったところでこの本が出版されたのだ。

収益は全て義援金。和田さんも場所を提供している画廊もこの本の印税も全てだそうだ。和田さんは限界まで続けたいといい、今現在も続いているという。毎週10枚の絵を描き続けること、それはすごいことだと素直に思う。

 

小説やエッセイは一度読むと再読することは少ない。だけど、こういう画集は何度でも開く。現に手元に届いてから毎日楽しんでいる。

温かい心に触れ、温かい絵に触れ、買ってよかったと思いながら・・・