えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

ささやかな楽しみ

よっぽど疲れていたのだろうか、目覚めたのは9時少し前だった。

今日は日曜日。デイケアはないし、ゴミ出しもない。だからいつまで寝ていても構わないといえば構わないのだけれど、それでも人が訪ねてくる可能性がある時間。もしも玄関チャイムが鳴ったら大変だ。昔人間なのでパジャマでドアを開けることなどできないと慌てて飛び起きた。

夫はというと、まだ寝息を立てて気持ち良さそうに眠っていた。 

急いで着替え、夫の体拭き用のお湯を沸かし、それから夫が自然に起きるようにと布団を片付け始めた。夫だって朝・夕の内服があるからいつまでも寝ていてはいけないのだ。

 

夫の体拭きと着替えを介助し、洗濯機を回しながら朝食の準備。今日はオープントースト風。というかトーストの上にハムや卵焼きを乗せただけのもの。そして、コーヒーを入れ簡単に済ました。それでも食べ終えればもう10時だった。

 

外は少し風は冷たいけれど、青空が広がりお日さまが顔を出しているので暖かい。

夫は何度かトイレに通うけれど、11時頃になってもお通じはない。お通じがないからといって、せっかく久しぶりに暖かくていい日なのにこのまま家で過ごすのはもったいない気がする。いくら朝が遅くても午後になればおそらくお昼寝をするだろうし。

それで「トイレに行きたくなったらすぐに帰れるぐらいのところまで散歩に行かない?」と誘ってみた。夫は外をちらっと見てから頷いた。

夫はもう何日もデイケアの日以外は外に出ていない。ほんとに久しぶりの散歩だと思うと、私の方が嬉しいぐらいなのだ。

 

我家の敷地から出る時に 見える裏の家の紅梅。

今まさに満開だ。 

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この梅の木にはウグイスやメジロがよく遊びにきて私を楽しませてくれている。

 

一分もかからないところにはKさん宅の白梅。

たぶん青軸だと思うけれど、こちらはまだまだ3分咲きぐらい。去年梅の実をおすそ分けしていただいたことを思い出した。

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我家の辺りは田舎なので、まだあちこちのお宅に紅梅や白梅がみごとに咲いていた。

「梅園まで行かなくても十分だね」なんて、負惜しみのようなことを言いながら歩く、歩く・・・

 

何件もの庭先で梅を見た後は「朝倉川の方に行くように」と、夫が左手で指さした。夫と散歩する時はいつも私は夫が指さす方へと言うがままに進むのだ。

 

朝倉川沿いは枯草ばかりでゴミがあちこちの捨ててある。今の時期が一番汚い気がするけれど、それでも川の水はきれい。そして、少し冷たいぐらいの風と川のせせらぎが心地よかった。

多分アオサギだと思うけれど、全身灰色の大きなサギがいつもの定位置で佇んでいた。カメラを向けたら気づいたのか翼を広げて飛んで行ってしまった。他にもセキレイがチョコチョコとかわいらしく歩いたり、飛んだりしていた。

 

家の近くをぐるっと回って約30分の散歩。

よそのお宅の花を見て、川沿いを歩き、鳥を眺め、あたたかいお日さまの光を浴び、風にあたり、自然を満喫できた。

たかが30分のことだけど、そんなこともなかなかできない毎日を過ごしていると、それができただけでもすごく嬉しいことなのだ。

それに、これはお金のかからない私のささやかな楽しみなのだから。