横浜まで版画を観に行こうと決めたのは去年のこと。
始めは日帰りで、版画だけを観てくるつもりだった。
それが、せっかく横浜まで行くのなら、横浜に住む「息子の家に行ってみたい」と思うようになった。
息子は夫が倒れてから東京への転勤が決まったので、私たちは今の住まいには行ったことがないのだ。
口には出さないけれど、彼女のご両親が行くたびに、私は羨ましくて仕方がなかった。
だけど、夫の状態を考えると諦めるしかないと思ってきた。
それが、最近は行けそうな気がしてきたのだ。
息子たちに話すと「是非、是非、来て。休みをとるから」と言ってくれた。
それからは息子たちの家に行くことが第一目的になり、版画を観たいという気持ちは二の次になった。
とはいえ、普通の家は家に入るまでに段差があるし、玄関には上り框もある。
確認すると、息子の家は道路から敷地内に入る所はスロープで、敷地内から玄関に入る所は10㌢ぐらいの段差があり、玄関から家に入るには25㌢ぐらいの段差があるという。
息子と私と彼女がいれば大丈夫だろうと思いながらも、家に入れるだろうかと心配で仕方がない。
そんなことを訪問リハビリのPTに話すと、それまでは5㌢の段差しか訓練したことがなかったけれど、すぐに20㌢の段差を上り下りする訓練を取り入れてくれた。
しかも毎回、20㌢の段差を持ってきてくれて。
段差というのはこれ。
四点杖を使い、5mぐらい介助で歩き、この段差を上る。そして降り、2mぐらい歩いて向きを変え、また段差を上り下りするのだ。
1回だけの日もあり、段差のところだけ3回位行うこともある。
4点杖を使っても一人では立っていられない夫を介助しながら、この段差を上り下りするのは結構大変だと思う。
それでもさすがPTだと思う。割と上手に上り下りすることができるのだ。
だけど、見ているのと、自分が介助するのはかなり違うと思う。
実際に息子の家で介助するのは私だから、私も介助してみたいと思っていた。
外に出れば、15㌢、20㌢の段差は我家にもある。
だけど、雨だったり、寒かったり、用事があったりで、外での訓練をやってみることができなかった。
まあ「下手に一人でやって転倒し、骨折でもしたら大変なことになる」という気持ちが頭をかすめたりもしたのだけれど。
それが最近、この段差を火曜日に持ってきて、土曜日に持ち帰るようになった。
「それなら家の中で自主訓練ができそうだ」と、私は秘かに喜んだ。
家の中なら壁に持たれれば転倒することはないと思うから。
だけど、先週は水曜日に岡崎まで出かけ、木曜日はデイケア、金曜日は駅まで出かけたり、床屋さんに行ったりしてやっぱりできなかった。
土曜日の訪問リハビリが終われば持ち帰ってしまうと思うと、残念で鳴らなかった。
ところが、今週は火曜日まで置いて行くと言ってくれたのだ。
それならば「今日こそやらなければ・・・」と、外出はやめて自主リハビリを行うことにした。
やってみると、やっぱり見ているのとやってみるのは大違いだった。
PTの介助では、麻痺側の右足も上手く上がるのだけれど、私が介助すると、右足を介助で台に乗せなければ上がれないのだ。
まあ、介助すれば大丈夫ではあるけれど。
あと少しで本番になる。
来週は暖かくなるというから、今度は外で自主訓練をしようと思う。
楽しみにしている本番に向けて、もう少し頑張らなくては。