えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

ブルーベリーから

子どもの頃から絵が描ける人が羨ましくて仕方がなかった。

歌が上手な人も楽器を演奏できる人もそうだけれど・・・

 

「絵は誰でも描ける」と言われそうだけど、私は丸を描こうとしても丸く書けないし、線を引いても真直ぐに引けないのだ。だから、見たように書けない。描けないことを自覚しているけれど、それでも描いてみたいと思うし、描けるようになりたいという気持ちを持っている。

 

以前、息子から「1分イラスト」だったか「5分イラスト」だったか忘れたけれど、都市設計家の山田雅夫さんが書いた本をいつもカバンに入れていて、ちょっとの時間にも落書きしていると聞いた。それで私もマネしようと山田雅夫さんの「ちょこっと(15秒)イラスト&(30秒)スケッチ」と言う本を買った。

そして、何日かその本を見ながら簡単なイラストを描いてみた。だけど、やっぱり思うようには描けないので、最近ではたまに本を開く程度になっていた。

 

7月の初め頃、録画予約をしようとテレビをつけると、NHKの「趣味DO楽」という番組で「ボールペンだけで描ける!簡単&かわいいイラスト」という番組を放送していた。

その日は全9回のうち、もう5回目だった。

録画の流れで見ていると、何だか私にも描けそうな気がしてくるから不思議だ。それで翌日、夫がデイケアに出かけたあと、すぐにそのテキストを買ってきた。

こういう類の本を机の上に置いておくと、夫は毎日のように眺めている。「ボールペンも紙もあるから描いたら・・・」と声をかけても描きはしないけれど。

 

今日は一日中、朝から雨が降ったり止んだりのお天気だった。そんな日は夫は庭先にも出ることができない。窓から外を眺め、ボーとしているだけだ。

そんな時、クール宅急便が届いた。

見ると、ブルーベリー農園をしているSさんからで、6種類のブルーベリーを送ってくれたのだ。

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ブルーベリーは6月末ごろから出荷が始まり、9月初めまで採れるそうだ。だから、そろそろ買いに行こうと思っていたところだった。おいしいんだよね。このブルーベリー。

 

「食べるからにはお礼状を出さねばならない」そう言って、絵手紙を描く準備を始めた。

いつもは墨を磨り、それとホルベイン透明水彩を使って描いている。

だけど今日はまず私がボールペンでイラストみたいに描き始めた。

私が描くと、夫はそれを眺めていつもダメ出しをする。ダメ出しをされると、今度は私が夫にボールペンを持たせ、描くように誘導するというわけだ。

 

夫が3枚、私が4枚、描いてみた。

紫色のボールペンは手持ちがないので、絵手紙用の水をつければ描けるという簡単な水彩絵の具で色を付けてみた。

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お互い「み」なので、消しゴムはんこはいつもお仲間。「み」が押してあるハガキにお礼の言葉を書いて明日投函する予定だ。もちろん、夫が描いたハガキの方で。

私が書いたハガキは土曜日に絵手紙をくれたT子さんに出すつもりでいる。

 

二人とも上手には描けないけれど、ブルーベリーを頂いたことでこうして楽しむことができたのだ。Sさんのおかげで「こんな風に過ごすのも悪くない」と、そんな風に思える1日を過ごすことができた。話せなくなってしまった夫にもかかわらず、それまでと変わりなく接してくれる夫の友人たちに私はいつも感謝の思いでいっぱいだ。

頂いたブルーベリーが終わった頃、今度は夫と一緒にSさんの農園へブルーベリーを買いに行こう。そして、兄弟たちや私の友人たちにもプレゼントしようと思っている。