えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

曾宮一念と山本岳人の展覧会を観に行った

9月半ば、地元の美術館へ行った時に佐野美術館で開催中の「曾宮一念と山本岳人 海山を描く、その動と静」というパンフレットを貰ってきた。

同時代を生き、海山を描き続けた洋画家・曾宮一念と日本画家・山本岳人の展覧会だ。

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夫はこのパンフレットを私に渡し、行きたそうな顔をした。その時9月13日。佐野美術館での開催期間は9月27日までだった。

 

佐野美術館まではナビによると3時間ちょっとの距離だ。私の運転でも行けない距離ではないけれど、翌週はシルバーウィークだったし、日にち調整がかなり難しかった。

パンフレットをよく見ると、下のほうに小さく11月14日から12月25日まで浜松市美術館に巡回すると書いてあった。ただ、「別の視点で作家に迫り、出品作品は一部異なります」とのことだけれど。

浜松美術館なら1時間ちょっとの距離だ。夫には「無理して遠くまで出かけなくても 浜松美術館のほうへ観に行こう」と言い、目につくところにパンフレットを貼っておいた。

 

11月に入り、いつ行こうかと思案していた。できれば平日がいいけれど、平日ならばデイケアか訪問リハビリを休まなければならない。でも本当は休みたくない。デイケアにしても訪問リハビリにしても急に休みにしてほしいというわけにもいかないし、休んでもお天気でないと行けない。浜松ぐらいなら日曜日でもいいか・・・とも思う。出かけようと思うとバカみたいだけれどいつもこんな風に悩んでばかりいるのだ。

 

あれこれ考えていると、先々週の土曜日、訪問リハビリの担当者から12日の土曜日をお休みにしてほしいと頼まれた。

「それならお天気さえ良ければ12日に行こう」と決め、天気予報ばかりを気にしていた。

 

天気予報によると今日は傘マークはなくなったとのこと。お通じがなくても行くと決めていたら、よくしたもので出かける前に大丈夫だった。

「ほんとに傘マークはなくなった?」と思うような空模様だったけれど、10時30分には家を出た。

国道1号線、浜名バイパスを通り、汐見トンネルを抜けると太平洋が目の前に現れる。今日はお天気が今一つだったけれど、ここからしばらくの間は右手に太平洋が時々眺められるので、私の好きな道だ。

 

前置きが長くなってしまったけれど、浜松美術館で開催中の「曾宮一念と山本岳人 海山を描く その動と静」

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的確に対象の本質を突き、大胆で強さを放つ造形と色づかいとを持ち味とする洋画家・曾宮一念。一方、やまと絵の柔らかな作風から堅牢で剛直な側面を併せ持つ作風へと展開し、揺らめくようなニュアンスのある色彩で、新しい日本画の世界を切り開いた山本岳人。

一念は躍動的な洋画、岳人は、静謐な中にダイナミズムを秘めた日本画というように、二人の表現方法は全く異なります。しかし、ほぼ同時期に、モティーフを海山に求め、大自然の中に独り身を置き、独自の風景画の境地を深めようとしたその姿には共通するものがあります。

語彙が少ないものだから何と表現したらいいのか分からないけれど、一言で言うならばとても素晴らしい展覧会だった。 

夫は車いすを私が押そうとすると、それを止め、自分で足漕ぎしながら見て回った。夫がそういう見方をするときはじっくり観たいときなのだ。だから夫が「とても良かった」と思っているのが私にも伝わってきた。

 

これは買ってきた図録と絵ハガキ。

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私が「曾宮一念と山本岳人」という図録を買おうとしたらどうしてもこちらがいいというので曾宮一念だけの図録。

絵ハガキはたくさんなかったこともあり3枚だけ。上2枚曾宮一念。下1枚が山本岳人のハガキ。

 

展覧会の前にお昼を食べそびれてしまい、美術館を出たのが1時だった。

知らない土地では夫とランチできる店は分からない。ちょっと寂しいけれどコンビニでおにぎりでも買って車の中で食べようかと思いながら帰途に就いた。

そうしたらすぐにイオンを見つけた。そこならお店もフードコートもあるし、多目的トイレもあるはずだ。本当はもっとおしゃれなところで食べたいけれど、夫とならばイオンのほうが安心していられる。そう思ってイオンの中の和食屋さんでランチにした。

写真はないけれど、値段と味と量を思えば十分満足だった。

 

行きも帰りも道中フロントガラスを雨が濡らしたけれど、私たちは濡れることもなく無事に行ってくることができた。そして、展覧会に大満足し、ランチもほどほどに満足し、「今日もいい日だった」と思える1日だった。こんな風に過ごすことができるなんて何と幸せなことだろう・・・

そう思うと、心から感謝しないではいられない。