思わぬプレゼント
日中過ごす部屋の窓から五色椿と金柑の木が見える。
五色椿の花はもうおしまいに近づいているのできれいではないけれど、金柑には実が鈴なりになっている。
そこへ毎日、一日に何回も、ヒヨドリとメジロがやって来ては花の蜜を吸ったり、実を食べたりしている。どちらも人の気配がするとすぐに飛んで行ってしまうけれど、またすぐにやって来てはみつを吸ったり実を食べたりしている。
いつもは木になっている実を食べているのだけれど、今日は下に落ちている実を発見したようだ。
これ、食べよっかな。

案外いけるじゃん。おいしいよ。

大丈夫かな・・・ 大丈夫。大丈夫。

おいしいなあ。

金柑の木にヒヨがいるみたいだ。まだいいっかなあ。

急げ、急げ、急げ。

後ろは大丈夫かな?

よしよし。今のうちだ。

変な人がいるみたいだけどガラスの向うか・・・

急いで食べちゃおう。

急げ、急げ・・・

あ~、おいしかった。満腹、満腹、ごちそうさまでした。

地面にいたせいか、窓から眺めている私には気づかない様子だった。
一口、二口実を突いては右をきょろきょろ。
また一口、二口突いて、今度は左をきょろきょろきょろきょろ。
また突き、後ろを見てはきょろきょろ、上を見てはきょろきょろきょろきょろ・・・
前後左右、上方にも警戒しながらかなり長い時間をかけて食べていた。時計を見たわけではないけれど、感覚的には10分以上食べていたように感じた。
今日は日中暖かくなったけれど、どこにも出かけることなく家で過ごした。
夫と二人、このかわいらしい仕草にしばし楽しませてもらった。何だかメジロから思わぬプレゼントを貰ったような気分で二人ともいつの間にか顔が綻んでいた。