えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

介護の一首から

以前、月曜日の朝刊の楽しみに朝日歌壇・俳壇があると書いたことがある。

とはいえ、短歌も俳句も素養があるわけではないものだから、ざざっと拾い読みする程度。それでも、中に共感する思いに出会えたり、グサッとくるものに考えさせられたㇼ、キラッと光る作品に出会えたりすると、ただ単にうれしかったり、幸せな気持ちになったりするのだ。

 

この間の月曜日、永田和宏氏選の第一首にこんな歌があった。

無理するなと言われたところで介護する私が楽になる訳ぢやない

 これは仙台の女性の投稿作品。

この方はどういう方を介護しているのかわからないけれど、私も夫を介護している身。素直に「そうなんだよな・・・」と思った。

 

私も「無理するな」と言われたり、「大丈夫?」と聞かれたり、「頑張ってね」と言われることがある。そんな時、正直、何と答えようかと思う。たぶん、「大丈夫」とか「ありがとう」と答えているのだけれど。

 

私は夫と二人暮らしの老々介護。夫は要介護4でほとんどの生活行為に一部介助が必要な状態。介護保険デイケアと訪問リハビリは利用しているけれど、他には手助けを頼める人はいない。だけど、夫は寝たきりというわけでも、状態が悪くて全身管理が常時必要な状態でもない。だから、看護師として急性期病院で勤務していたときのことを思えば夫ひとりの介助なんて大したことではないと思っている。

それでも時々、誰かに少しだけ手伝ってほしいと思うことがある。それができないのは下の世話のため。デイケアで介護のプロに頼むのとは違い、たとえ姉であっても意識があり、まだ恥ずかしいという気持ちを持っている夫の下の世話は頼めないから。

 

きっと、「無理するな」と言ってくれる人は介護している人を労わってくれているには違いないと思う。だけど、私にはこの歌を投稿した方の気持ちが痛いほどに伝わってきた。