えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

シクラメンと小菊、そして喜んでくれる人

夫は元気だったころ、毎年シクラメンの鉢植えを買ってきた。たいていの場合、白とピンク、あるいは白と赤。それを並べてかごに入れ、事務所の机に飾り、春まで楽しんでいた。もちろん、液体肥料をやるのも水やりも夫自身が行っていた。

 

退院して迎えた初めての初冬。庭や草花に目がいくこともなく、もちろんシクラメンを眺めたいという気持ちを思い出すこともなく過ぎた。

2年目は 少し気持ちが落ち着いてきたのか、二人とも少しづつ外の世界にも目が向けられるようになった。買い物に出かけた時、店頭に並ぶシクラメンに目が留まり、「買って帰ればきっと夫が喜ぶだろう」と赤と白の鉢植えを買ってきた。案の定、夫は声をあげて喜んでくれた。

3年目、夫とともに隣市のJA産直店に行った時、夫は車いすを足漕ぎし、自分で園芸コーナーの方に行こうとした。そして、そこでシクラメンを見つけると指さし「おー! おー!!」と声をあげた。私が「買いたいということ?」と聞くと、大きく頷き、真っ赤なシクラメンを選んだ。

4年目は夫の姉が「弟が好きだから」と、赤いミニシクラメンの鉢植えを持ってきてくれた。それが5年目の冬も咲き、今年の夏まで1輪、2輪と咲き続けていた。

6年目に入った今年、玉ねぎの苗を買いに行った園芸店でシクラメンの鉢を見つけた。最近では「おかずになるもの以外は買わないよ」と言い続けていたけど、見ればやっぱり夫の顔が浮かんできて、一番気に入った白の鉢植えを買ってしまった。

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早速、デイケアから帰宅した夫に見せると「おー!!」と声をあげ、満面の笑みで喜んでくれた。その笑顔と、春までずっと楽しめることを思えば、おかずにはならないけれど実に安い買い物だと思う。

 

10月下旬から咲き始めた庭の小菊はまだきれいに咲いている。だけど、そろそろ枯れた花も出始め、ピークは越えた。花は徐々に咲いてくれればいいのだけれど一気に咲き、一気に枯れてしまう。

この小菊は義母が仏花に使うために植えたもの。義母は草花の手入れを欠かさなかったけれど、私は放ったらかし。それでも、どんどん増え、毎年花を咲かせてくれる。

 

小菊が咲き始めると、先ずは仏壇に供える。そして、お墓参り。今年も2回、お墓に供えた。実家のお墓にも2回行ってきた。

それだけのお花を切っても、まだまだ切ったとは思えないほど咲いている。で、友人のご主人のお仏壇用にも使ってもらおうと差し上げたたり、美容院の友人には毎年花束にしてプレゼント。 

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いろんな色の小菊で花束にするとちょっとステキになる。なんて、勝手に思い、お花が好きな友人にもらっていただいている。押し付けかもしれないけれど・・・

でも、友人は「わー!!」と歓を挙げて喜んでくれた。

お世辞かもしれないけれど、喜んでくれると私もうれしい。こうしてささいなことでも喜んでくれる人がいることが私の元気につながっているのだろうなと思う。