えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

短歌とツワブキとシジミチョウとわたし

夫は今年に入ってから昼寝をしなくなった。

車いすでうとうとしているのだからベッドで横になれば楽なのにと思う。それに日中ずっと臀部に体圧がかかっているより分散できるし、私も一時楽になれるのにと思う。けれど、寝たくないと意思表示する大人を無理やりベッドに寝かせることはできない。何事も、私の思うようにはいかない。だから、8年経ち、体調が良くなってきたのだろうと思うことにした。

その代わり、夜が早くなった。早い時はもう7時前にはベッドに入る。遅くても7時30分には寝てしまう。

 

夫が寝てしまうと、残した家事と入浴をすればあとは自分の時間だ。日中は洋間で過ごすけれど、夜は和室で過ごす。テレビの前に座り、録画しておいた番組を見ることが多い。

 

この間の火曜日もそんな風に過ごした。

夫が寝ると、残っていた家事を済ませ、風呂を沸かし、風呂が沸くまではPCで遊び、入浴後はテレビの前に陣取り、テレビとブルーレイディスクのスイッチを入れた。

 

PCで遊んだ時間が長かったのでテレビをつけるとクローズアップ現代+の映像が流れていた。短歌が詠まれ、その歌に勇気をもらったとか、励まされたとか・・・、番組では萩原慎一郎さんのことを取り上げていた。

録画番組を見るつもりでテレビをつけたのだけれど、ついついその番組に見入ってしまった。

あとで調べると、 いじめ 非正規 恋・・・

歌に託した人生 ~ある歌集・異例のヒット~ というものだった。

クローズアップ現代+のホームページより

「サラダ記念日」の大ブームから30年、平成の時代をうたった一冊の短歌集がいま大きな話題を集めている。作者は萩原慎一郎さん、去年32歳で自ら命を絶った。学生時代のいじめ、その後の精神的不調そして非正規として働いた人生・・・。過酷な日々とともに夢や恋も歌にした。発行部数は通常の歌集の200倍に達している。自らも感銘を受けたという又吉直樹さんとともに、萩原さんが残そうとしたメッセージに迫る。

 

萩原さんは中高一貫校に入り、そこでいじめが始まり、その苦しい時期に短歌に出会ったそうだ。短歌界での 数々の賞を受賞し、歌人になること、歌集を出すこと、それが萩原さんの年来の夢だった。そして、ご自身から歌集を出したいと申し出があり、タイトルも希望の出版社も決め、あとがきも準備されていたという。しかし、歌集が出版される前に(入稿後の6月)命を絶ってしまったのだ。

 

朝日歌壇賞、NHK全国短歌大会などでも受賞している萩原さんの短歌、私もどんな短歌だったのかははっきりと記憶にないけれど、名前には記憶があったので目にしたことがあると思う。そして、テレビで朗読された短歌に心を奪われ、翌日、美容院からの帰りに本屋さんへ走り購入した。

歌集 滑走路

歌集 滑走路

 

 一気に読み、今また読み返している。

私が心惹かれた短歌のことを書きたいけれど、本の帯に書かれた短歌と俵万智さんのことばを記しておく。

非正規の友よ、負けるな ぼくはただ書類の整理ばかりしている

頭を下げて頭を下げて牛丼を食べて頭を下げて暮れゆく

消しゴムが丸くなるごと苦労してきっと優しくなってゆくのだ

夜明けとはぼくにとっては残酷だ 朝になったら下っ端だから

われを待つ未来にいることを願ってともすひとりの部屋を

  

ピュアな言葉に思う。短歌は、彼の濾過装置。

自在な表現に思う。短歌は、彼の翼。

真っすぐに心を射抜く短歌が、ここにある。 俵万智

私もその通りだと思う。そして、いじめは残酷で罪深いことだと思う。

 

今週は木曜日に夫の脳外科受診と床屋さんに行き、その後は今日まで家に籠っていた。

この間から庭のあちこちでツワブキが咲き始め ている。 

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草取りもできないものだから姫女苑も大きくなって花が咲いている。

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このままにしておくと増えてしまうと思いながらも花を見ればかわいくて取れずにいる。

外出はできないけれど、南側の庭なら夫の視界に入るから、ツワブキを眺めたり、20分ぐらいは草取りもした。そして、ちょこまか飛び回るシジミチョウにも遊んでもらった。

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明日になれば夫はデイケア。私はこのシジミチョウのようにちょこまかと飛び回る予定でいる。