2010年9月29日の夕方、夫は脳出血で倒れた。
あれからもう10年が経った。
この10年間を振り返ると、色んなことがありすぎて「お互い、ここまでよく頑張ったなあ」と感慨深い。
運ばれた急性期病院で開頭血種除去術を受け、2か月間入院。術後、10日ほどは意識がない状態が続き、意識が回復した後も夫には多くの後遺症が残り、どこまで理解できているのかわからない状態だった。
その後、回復期リハビリ病院に転院し、4か月間入院リハビリを受けた。しかし、右半身マヒ、失語症、失認、失行、右半側無視とまではいかないものの右半側注意障害・・・等々、沢山の障害が残ったまま、合計6か月の入院生活を経て自宅に戻った。
そして退院後、訪問入浴と訪問リハビリを受けながら自宅での24時間介護が始まった。
1か月後には夫の退院を見届けたように義母が亡くなり、二人だけの生活になった。
当時、夫の状態を見ながら大急ぎで近くのスーパーへ行くのが精いっぱいだった。それでも帰宅すると転倒していたことがあり、当時は気が休まることがなかった。
私は自分が選択したことだから必死だった。だけど、近くに住む夫の弟や姉はそんな状態を見かねたのだと思う。夫にデイケアに行くことを勧めてくれ、夫は週2回デイケアに行くことになった。そして、現在は3回になった。
こうして、10年間の想いを書き始めたらいつまでも続きそうなほどある。
だけど、10年も経つと二人の生活リズムは落ち着き、自由が利かなくなったとはいえ、今の状態をすべて受け入れ、二人とも心穏やかに暮らしている。
「もしも一つだけでも希望がかなうならば・・・」と考えることもあるけれど。
今は体力の衰えを感じながら、あの時、命まで奪われなかったのだからこのまま少しでも長く、穏やかな生活が続くようにと願うばかりだ。