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えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

電車に乗った

もうだいぶ前のことになってしまったけれど、先週の火曜日のこと。

20時30分ごろ携帯電話のベルが鳴った。液晶画面に表示された名前を見ると、いつもなら夜に電話を掛けてくることなど絶対にない兄からだった。「何かあったのだろうか・・・」とドキドキしながら電話に出ると、網膜剥離で緊急入院となり、緊急手術を受けたとのこと。そして10日間ぐらい入院になるだろうとのことだった。

 

それだけなら兄のことだからおそらく電話などしなかったと思う。

眼科受診の際、車で出かけた兄はその病院で網膜剥離と診断され、すぐにタクシーで紹介された総合病院へ行くことになった。で、手術が終わり落ち着いたところで置き去りにした車のことが気になったのだ。

 

兄嫁のYちゃんはペーパードライバーだ。長男は東京に住んでいる。二男は同居しているものの、手術翌日から新しい仕事が始まるため仕事を休めない。それで、私に「時間があれば車を持ちに行ってもらえないか」という頼みの電話だった。

 

場所は隣の県。といっても車なら1時間強のところだけれど、車を持ちに行くとなると、兄の家までスペアキーを取りに行き、電車で出かけなければならない。しかも兄の車は大きいし、ナビが付いているとはいえ、知らない道を一人で運転しなければならない。まあ、何度かは行ったことがあるといえばある所なのだけれど。

 

兄にはこれまでにどれだけ助けてもらったか分からない。その兄が「車を放置しておくわけにはいかない」と困って頼んでいるのだ。それなのにここで断ったら女がすたるというものだ。だけど、私にも珍しく予定が入っていた。水曜日は美容院の予約、木曜日は夫の3か月に1度の受診日だ。夫の受診日は動かせないけれど、美容院の方は少しの間我慢すればいいだけのこと。美容院の友人には申し訳なかったけれど予約を延ばしてもらい、車を持ちに行くことにした。

 

夫が倒れて以来、一人で電車に乗ることはなくなった。決して鉄女とか乗り鉄というわけではないけれど、電車は大好きだ。最近はは少しゆとりがでてきたせいか、時刻表を眺めては空想の世界に浸ることもある。「東なら掛川辺りまで行けそうだ」とか「新所原から天浜線に乗ってこんなふうに周って来よう」とか「西なら新幹線で名古屋まで行ってみようか・・・」とか。だけど現実には電車で遠くに行くことはとても心配で出かける決心がつかないでいた。電車は予測ができないようなことで遅れたり、運休になったりすることがある。夫がデイケアに行っている間に行くとは言え、もしもの時に夫を迎えてくれる人はいないのだから。

 

兄の車を持ちに行くと決めると、ネットで検索した時刻表とにらめっこだ。夫がデイケアに行ったあと、兄の家までスペアキーを持ちに行く時間が車で往復1時間。帰宅してすぐに市内電車の停留場まで歩いて10分(実際にはもう少し早く行けるが)。駅までの時間が約30分。JRの乗り場まで歩く時間を考えるともう少し見ておいた方がいいか・・・

何時何分の電車に乗ると目的地に着くのが何時何分。昼はどうしよう、ナビはセットできるだろうか、初めての車の運転は大丈夫か、家に戻れるのは一番遅い時間を考えると何時何分ぐらい。もしも遅くなってしまったら車は我が家の車庫に置いておき兄が退院後に届けよう・・・と、行き当たりばったりでいくような楽しい旅とは違い、次から次へといろんなことが頭を過り、なかなか寝付けなかった。兄の家にスペアキーを持ちに行ったその足で渥美線の最寄り駅まで歩き、駅まで出るのが最短時間だということさえ思いつかずに。

 

水曜日の朝、夫は順調に支度を済ませ、送迎車に乗ってデイケアへ出かけてくれた。

私は夫が出かける前に着替えを済ませ、朝の片づけは放ったまま前日シミュレーションした通りに行動を開始した。

先ずは兄の家までスペアキーを取りに行き、一旦家に戻った。ここまでで約1時間。

自分の車を車庫に戻し、今度は市電の最寄りの停留所まで歩き、市電に乗ること約30分。

JRで目的の駅までは約35分。新幹線なら15分で行けるけれど、電車の時間の関係でどちらに乗っても着く時間は変わらなかったので普通電車に乗った。

目的駅に着いたのは11時16分。駅の構内でちょっと早い昼食にしたかったけれど、車のことが心配だったので売店でおにぎりとお茶とチョコを買い目的地に向かった。

 

兄から聞いていた場所にはすんなり行けたものの、路駐だと思い込んでいた私は車が見つからず、レッカーで運ばれてしまったのではないかと心配した。で、兄に電話で確認すると、道路の面したちゃんとした駐車スペースに止めてあった。「なーんだ。ここならそのままでも良かったんじゃない」と思ったけれど、そこはどうやら共有のスペースのよう。兄は10日間も止めておけば友人である眼科医に迷惑がかかるんじゃないか、柵もない道路に面した駐車スペースで、しかも夜間は人通りもなくなるような場所では車上荒しにあうのではないかと心配していたようだ。まあ、術後の兄が安心してくれればそれでいいのだけれど。

 

車が見つかったので安心し、中でおにぎりを食べた。

時間を見ると12時少し前。もうどこにも寄る予定はないので食べ終えるとすぐに家に向かった。初め、兄が退院するまで車は我家に置いておく予定だったけれど、思いのほか早く着いたので兄の家まで届けることにした。ここで初めて、スペアキーを持ちに行った時に自分の車をそこにおいて出かければよかったことに気付いたのだ。まあ、そのせいで渥美線にも乗れたわけだけれど。

 

「電車に乗りたい」と思い続けて3年ぐらい。思わぬことで市内電車にもJRにも渥美線にも乗ることができた。電車が止まってしまうこともなく、夫の帰宅時間よりずっと早く帰ることができた。でも、楽しくはなかった。

それでも兄の役には立てたことだし「このぐらいの距離なら電車で遊びにも行けそうだ」と分かっただけでも成果はあった。

今度は5時間ぐらいかけて楽しい旅をしてみようと思う。5時間ぐらいでは旅とは言わないか・・・

でも、近いうちに行けたらいいなと思う。

 

因みに、兄は27日に退院したと連絡があり、28日には顔を見せてくれた。視力の方はもう少ししないと戻らないらしいけれど、元気だったので安心した。 

 

 今日のおまけは庭の紫蘭。白花もあるけれど、うまく撮れていなかった。

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