土曜日の日、久しぶりに知り合いのEさんが自分で作った冬瓜とゴーヤと白ゴーヤを持って来てくれた。
このところの悪天候で、冬瓜もゴーヤもさっぱり収穫ができなくなってしまったそうなので貴重な贈り物だ。
で、いつものように夫には「これで絵を描いてよ」と何度も言い、帰られた。
Eさんのことは何度も書いているけれど、地元の小学3年生と老人会で絵手紙を教えている。
それで、その人たちが描いた絵手紙展を今月3日まで開催していたそうで、地元紙に掲載された記事のコピーと、子どもたちが書いたEさんへの感謝の言葉を添えた絵手紙のファイルを4冊、夫に見せるために持って来た。
小学生の絵手紙はどれもが生き生きとした子どもらしい絵ばかりで、夫は真剣な眼でファイルを眺めていた。そして、明るい色使いの絵手紙は傍らで見ている私の気持ちをも和ませてくれた。
それで今日は夫にはEさんから頂いた冬瓜とゴーヤと白ゴーヤの絵を描いてもらわなければと思っていた。
だけど我家は帰省した子どもたちが帰ったばかり。私は昨日から寂しさマックス状態なのだ。それで、なかなか絵手紙を描く準備すらする気になれなかった。
夫が元気のない時にはいつもレイ・チャールズのCDをかけることにしている。そしてリズムに合わせて歌ったり踊ったりしてみせるのだ。で、今日は自分のためにかけてみた。まあいつものようにノリノリになることはなかったけれど・・・
これは頂いた冬瓜とゴーヤと白ゴーヤ。そして夫が描いた絵手紙。
今回は筆ではなくボールペンで描いた後、水彩絵の具で着彩した。Eさんには左の白ゴーヤの絵手紙を出すことにした。
夫は失語症なので字が書けない。それでいつもは手紙部分を私が書いている。でも、やっぱり絵手紙だから簡単な言葉でも夫に書けるようになって欲しいと思っていた。
失語症の人にとって、字は漢字が一番わかりやすく、その次はカタカナ。そして平仮名が一番難しいと聞く。夫の場合、今までに何度となく試してみたけれど、一部の字を除いてどれもが書けなかった。
でも・・・
カタカナで「アリガトウ」ならば、見本を書いて見せれば、ひょっとしたらそれを真似して絵のように書けるかもしれないと思い、試してみた。
私が書いた「アリガトウ」という見本を見ながら、2度、3度と練習を重ねたところ、ハガキにも何とか読めるように書くことができた。
字を書いた絵手紙の写真はないけれど、夫にとっては倒れてから初めて描いたホントの絵手紙になったのだ。
そう思うと何だか嬉しくなって、寂しさマックスだった気持ちは何処かにいってしまったようだ。
こうして野菜を届けてくれたり、刺激してくれる人たちのおかげで、夫は少しづつ回復していくのだと実感している。ほんとにありがたいことだ。