えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

ふれあい音楽会⑬

時のたつのは早いもので、もう1週間も経ってしまったけれど、先週の水曜日はふれあい音楽会だった。

今回は「おしゃべり音楽会 -音楽はリズムだ! -リズムの魔法」と題し、ピアノとバイオリンの素晴らしい演奏付きの、とても楽しい音楽の授業という感じだった。 

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おしゃべりといっても曲にまつわることやリズムの話など等。音楽に関するおしゃべりだ。だから、楽しい音楽の授業のようだったというわけ。

 

先ずはブラームスハンガリー舞曲第5番から。

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第一部が7曲。ティータイムを挟んで二部が5曲。そして、文部省唱歌をみんなで歌い、アンコールが1曲。

 

「音楽はリズムだ! -リズムの魔法」というタイトル通り、いろんなリズムで演奏し、楽しませてくれた。「きらきら星」は7変化。2拍子、3拍子、4拍子・・・と。

もう1週間も経つと、どの曲をどんなリズムで演奏してくれたのか忘れてしまったけれど、タンゴのリズムあり、ジャズのように・・・と。

八木節の時にはタンバリンやマラカス、ドラム、ウッドブロック(?)などの打楽器が準備してあり、館長さんはじめ、何人かの方に飛び入りで参加してもらっての演奏だった。

以前、テレビで八木節をオーケストラで演奏しているのを聴いたことがあるけれど、大げさな言い方をすれば、それにも負けないぐらい素晴らしかった。もちろん、打楽器でリズムをとったのは、心づもりも何もなく、その場で舞台に引っ張り込まれた人たちなのだけれど。

 

「楽しかったね」というのが私と友人の合言葉。毎回、毎回、同じ文句で締めくくっている。でも、本当に楽しい音楽会なのだ。

400円でお茶とお菓子付き、しかも本格的な音楽が聴ける。こんな時間が持てるから、今日もこうして頑張れるのかもしれない。

日本画を観に行った

金曜日、義弟が従兄が亡くなったと伝えに来た。そして、その日が通夜で土曜日が葬儀だけれど、家族葬で行うと言う。

従兄というのは義母の甥にあたる人で、義弟も義姉も子どもの時以来お付き合いはないらしく、出席はしないとのこと。だけど、義母の葬儀には来てくれたし、夫は20年ぐらい前にその従兄が自宅を建てる際に設計管理をさせてもらっている。だから連絡をくれたようだ。

家族葬だというし、礼服を着て夫を通夜や葬儀に連れて行くのはちょっと辛い。そうかといって夫を置いて私一人で出かけることも難しい。どうしたものかと考え、日曜日の今日、夫を連れて自宅へお悔やみに行くことにした。夫がデイケアに出かける月曜日に私一人でお参りさせてもらうことも考えたけれど、顔も知らない私が一人で行くより、家には入れないにしても夫を連れて行った方がいいに決まっていると思ってのことだ。

そして今日、予定通り従兄のところへ行ってきた。と、ここまではちょっと書いておきたかっただけのことでタイトルとは全く関係ないこと。

 

従兄の家からの帰り道、地元の美術館へ行ってきた。

今開催しているのは豊橋市制施行110周年・美術博物館リニューアル記念展 

日本画 -新たな地平を求めてー という企画展。

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これも楽しみにしていた企画展でいつ行こうかと思っていたもの。

パンフレットより

戦後まもなく、それまでの「日本画」の在り方に危機感を募らせた日本画家たちがさまざまな試みを展開しました。既存の美術団体では若い世代が台頭するとともに、「世界性に立脚する日本絵画の想像を期す」として産声をあげた創造美術協会(現:創画会)が注目を集め、その一方で京都のパンリアル美術などが先鋭的な「日本画」表現の探求を行います。・・・・・・

本展では戦後日本画史を語る上で欠くことのできない福田平八郎、徳岡神泉東山魁夷高山辰雄、杉山寧、片山球子、加山又造平山郁夫、堂本印象、横山操といった画家たちが日本画壇に新風を吹き込むべくさまざまな表現に挑んだ1950~60年代を起点に、パンリアル美術協会などの前衛グループや独自に活動を展開した画家たちの実験作、伝統素材を用いてさらなる表現の 探求を行い「日本画」を超える新たな可能性を示した現代作家たちを取り上げます。・・・・・・

作品は「戦後日本画の展開ー自然・心象・抽象」「革新の諸相ー表現と素材」「郷土日本画家の動向」「日本画ー❝越境❞の時代から」と4章に分けられ 63点が展示されていた。

 

片岡球子さんの元気が出るような絵「山湖」など、私が好きな絵はいくつもあったけれど、正直、表現と素材はよくわからないかったし、抽象画もよくわからなかった。まあ、私に感じる力がないだけのことだと思うけれど。それでも、それぞれの大作にはエネルギーを感じることはできた。夫はどう感じたのかはわからないけれど。

 

絵を観た後はレストランでランチを食べて帰宅した。久しぶりの外食は私にとってはとってもうれしいことだった。

お役に立てれば嬉しいです

この間、夫が歯科受診中に待合ホールに置いてある地方紙を読んでいた。そこに地元のとある団体がタイに車いすを寄贈したという記事が載っていた。台数は覚えてないけれど、新しい車いすだけでなく、県内外の病院や介護施設、一般家庭で不要になった車いすを引き取り、それを地元の工業高校の生徒さんたちが修理し、かなりの台数を贈ったそうだ。そして、最後に不要な車いすがあれば引き取りますとあり、連絡先が書いてあった。

 

我が家には義母のために購入した車いすが1台、物置で眠っていた。購入した当時、義母は要支援だったか要介護1だったか忘れたけれど、ケアマネからリースの対象にはならないと言われた。だけど、歩行もままならず、病院受診するのも大変だったので購入した。

その車いすも必要がなくなり、もう5年以上が経つ。元々病院に行くときにしか使ってなかったものだから年数が経ったとはいえまだまだきれいな状態で処分できないでいた。

 

夫が倒れたのと同時期に 義母は車いすを使わなくなった。それなら、その車いすを夫が使えばいいと思われるかもしれない。だけど、家にあるのは極々一般的な介助用車いすであり、夫は自走式で、しかも肘の部分を跳ね上げたり、足の部分を取り外したり開閉できるもののほうがいい。もちろん、一般的な介助用でも屋外用でなら使えなくはない。だけど不自由なだけに少しでも快適なものをと思い、介護保険を利用し、室内用と屋外用の車いすを1台づつリースしているのだ。こういったことが介護保険のパンクに繋がるかもしれないと思いながら。

 

使う人がいなくなったとはいえ、粗大ごみに出す気にはなれず、そうかといってもらってくれる人も見つからず、物置で眠ったままになっていた車いす。この団体に引き取ってもらえれば、きれいに整備してもらえ、また誰かの役に立つだろう。この国では必要ならば介護保険でリースできるけれど、介護保険もお金もなく、どんなに車いすが必要でも使えない国の人がいる。そんな人に使ってもらえれば、この車いすも喜んでくれるに違いない。そう思い、新聞に書いてあった連絡先に電話した。そして、木曜日に担当の方が引き取りに来てくれた。

これで、来年はどこかの国で、車いすを必要としている人の役に立ってくれるだろう。

役に立てれば、車いすも、私もとてもうれしい。そう思いながらそっと車いすを撫で、見送った。

シャガール展を観に行った

夫はデイケア日以外はいつもお昼寝をしている。

あまり長い時間寝ると昼夜逆転してしまうことがあるけれど、夫は2時間ぐらい寝ても大丈夫。夜は9時ごろには床に入り、夜中もトイレに起きることはあるものの、しっかり眠っている。だから、お昼寝の時間は私にとってはホッとできる大事な時間になっている。なので、午後はよっぽどでない限り出かけることはない。息つく時間が取れないと、私の疲れが倍増してしまうから。

 

だけど、昨日は隣市の美術館で開催中の「シャガール展」を観に行ってきた。本当は午前中に行きたかったのだけれど、夫のトイレ事情で出かけられなかった。いつもだったらそれで双方が諦めてしまうのだけれど、昨日は昼食を済ませるといつもならすぐにお昼寝をする夫が「行きたい」と意思表示をしたのだ。息抜きの時間は無くなってしまうけれど、私自身が行きたかったので出かけることにした。

 

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入り口を入ると、ホワイトボードの立て看板にお抹茶の案内があった。夫はそれを見るや否や「おう、おう、おう」と声を上げ、看板を指さし「お抹茶が飲みたい」と言うのだ。

通常、日曜日は別棟の茶室「心々庵」でお抹茶をいただくことができる。だけど、昨日はシャガール展に合わせ、美術館内のホールでいただけるとのことだった。茶室では車いすの夫は無理だけれど、ホールでなら大丈夫。

美術館に着いたのが2時少し前。お抹茶は3時までとのことだったので絵を観る前にいただくことにした。客は私たち二人だけだったし、夫が車いすだったからなのかわからないけれど、皆さんがとても親切に対応して下さった。それでか、夫は終始笑顔でお茶をいただいていた。そんな姿を見ていたら、私もすごくうれしくなってきた。

 

シャガール展のテーマは -色彩で語る愛ー 

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出品目録によると、展示作品はエッチングリトグラフ を合わせて262点。見ごたえありすぎという感じだった。

シャガールの絵がすごく好きというわけではないけれど、明るくて、やわらかで、何となく温かい気持ちにさせてくれる色彩表現はシャガールならではだと思う。

作品の数が多すぎてちょっと疲れてしまったけれど、地方都市ではこれだけの作品にはなかなか出会えない。夫はどう感じたのかわからないけれど、外出したことだけでも刺激になったことは確かだ。お抹茶も飲めたし、いい一日だったに違いない。

 

これは購入した絵はがき。 

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特別なお客さん

夫は2か月に1度ぐらい床屋さんへ行っている。

床屋さんのご主人は夫の小・中学校の同級生で、歩いても行ける距離にある。

だから、夫が6か月間の入院中に病院に出入りしている床屋さんに1度だけ、退院後に2度ほど私が散髪した以外はずっとその床屋さんのお世話になっている。特別に仲が良かったわけではなさそうだけれど、同じ小学校、中学校に通っていたこともあり話題には事欠かないし、話には通じ合うものがある。だから、不自由になってからも安心して散髪してもらえるので私にとってもありがたい存在だ。

 

この間の日曜日、夫を床屋さんへ連れて行った。

散髪しながら、夫は言葉を話せないけれどいつものように3人で昔話に花が咲いた。

その時、「今もワインを飲んでいる?」と聞かれた。夫は倒れる前にはビールも焼酎もワインも飲んでいたけれど、ポリフェノールが体にいいからと、好んでワインを飲んだ時期がある。それで、以前おいしいワインをいただいたことがあった。だけど今は、飲んではいけないわけではないけれど、アルコール類を全く口にしなくなってしまい、必然的に私も飲まくなった。そんなことを話しながら散髪を終え、家に戻った。

 

昨日の夕方、ドアチャイムが鳴ったので出ると床屋の彼だった。

で、「ワインを飲まなくなったと言ったのでジュースにした」と言いながら大きな箱包みをくれた。驚く私に「開店して40周年になるから、ずっと来てくれている特別なお客さんにだけのお礼」と言ってくれたのだ。

確かに開店当初からずっとお世話になっているけど「特別なお客さん」と言われるとちょっとうれしい。いや、いや、かなりうれしい。しかもこんなプレゼントを下さるなんて・・・  

「40年の節目だけれど、これからも続けられるうちは続けるつもりだからよろしくね」という彼の言葉に安心し、ありがたくいただいた。 

 

「これがいただいた「ワイナリーこだわりのグレープジュース」。 

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右のボトルは封を開けて味見した後だからちょっと泡が立っているけれど、グレープ、ブルーベリー、ブラックベリー、カシス、ダークチェリーのグレープミックス。真ん中がプレミアムホワイト。ナイアガラ、マスカット、そーヴィニヨンブラン、シャルドネ、セシヨンという5種の白ぶどうブレンド。左端はコンコード、カベルネソーヴィニヨン、メルローピノノワールという4種のぶどうのブレンド。

100mlあたりのポリフェノールは320mg。アントシアニンは27mg。何だか、体にも目にも良さそう。

 

先ずは一口づつ味見した。

100%果汁のジュースなので、しっかりとぶどうの味がしてすごくおいしかった。

 

特別っていう言葉の響き、やっぱりいいね。

うれしくって、おいしくって、少なくてもこのジュースがなくなるまではしあわせな気持ちが続きそうだ。

ふれあい音楽会⑫

このところずっと忙しい日が続いている。

と言っても、人から見ればそんな風には見えなくて、自分自身が気忙しいだけかもしれないけれど。

そんな中、この間の水曜日にふれあい音楽会へ行ってきた。

あまりにも追われるような気持ちで暮らしていると、一人だったらいくら前売り券を買っていてもやめてしまいそうだ。だけど、友人と約束しているのでそんなわけにもいかず行ってきた。

 

今回は「美しい響きをあなたに」 ~肌で感じる芸術の秋~ というテーマのピアノ演奏会だ。

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ところが、これがまた素晴らしいの何のって・・・

毎回、「今回がピカイチだね」なんて言いながら聴いている私たちだけれど、今回も本当に素晴らしい演奏で感動ものだった。 

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今までに何回か クラシックの演奏会に行ったことがある。自宅でもクラシックのCDを何枚も持っているので時々は聴いている。だけど、知識は中学校の音楽の授業で習った程度。だからほとんど知らないと言ってもいいぐらいだ。なので、CDを聴いていると言ってもだれの作曲なのか、曲名も分からないまま、ただ気分の赴くままに聴いているだけ。それでも聴いていると何だか心地よい時が過ごせるのだ。

 

今回は1部ではビゼー、ベートーベンの曲を、2部ではシューマンスクリャービンの曲を演奏された。ビゼーやベートーベンやシューマンは中学校の教科書にも出てきた作曲家なので私でも知っている。だけど、スクリャービン(アレクサンドル・ニコラエヴィチ・スクリャービン)という作曲家は初めて聞く名前だった。

 

スクリャービンについてはプログラムにも解説が載せてあったけれど、演奏の合間に音楽好きだと思われる館長さんが「音楽講座」として、少し説明してくださった。ほんの数分の説明だったけれどとても分かりやすかった。かいつまんで言うと、絵画の世界に例えるとピカソのようだと。

そんな説明を受けてから聴いたスクリャービンピアノソナタ第4番 嬰へ長調 作品30 何となく他の作曲家のピアノソナタとは違うような気がして「なるほど・・・」と思いながら楽しませてもらった。本当に分かったのかと言われれば自信はないけれど。

 

スクリャービンに限らず、どの曲もとても素晴らしいピアノ演奏に興奮し、体中にビンビンと響いてきた。

毎年の楽しみ

優しい絵を観ていると、私も優しい気持ちになってくる。

温かな言葉を聞くと、私の心も温かくなる。

笑顔を見ていると 、知らず知らずのうちに私自身も笑顔になっていることに気づく。

 

毎年書いているけれど、10月は蒲郡(がまごおり)市立図書館で開催される「内藤勲の似顔絵ッセイ展」を楽しみにしている。この展覧会、もう22年も続いているのだからすごいと思う。

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内藤さんの似顔絵はみんな笑顔だ。デフォルメされた似顔絵は面白いと思うけれど、私は内藤さんの笑顔の似顔絵が大好きだ。

 

本当は夫と一緒に見に行きたかったけれど、諸々の事情で行けそうもなかった。私一人で行くにしても、このところ夫のデイケア日は予定がぎっしり詰まっていて、唯一空いていたのはこの間の水曜日の午後だけだった。

 

蒲郡までは車で約1時間。展覧会を観て、往復の時間を考えると、行けないことはないけれど午後から出かけるのはちょっときつい。だけど、やっぱり行きたくて、昼食は車の中でおにぎりを食べることにして行ってきた。

 

今回は16人の似顔絵ッセイ。有名どころでいえば青島広志さん、ピカソ山下達郎さん、小泉今日子さん、川崎のぼるさん、杏さん、大川橋蔵さん、タモリさん。他には漫画家、絵本作家、サンダーバードの作曲家、海洋堂社長、劇団四季オペラ座の怪人」の怪人役の芝清道さん、最近日曜美術館で紹介され展覧会に行きたいと思った木版画家の吉田博さんなど等。

どの人も笑顔、笑顔、笑顔。

エッセイも「そうそう、そうなのよ・・・」と思いながら読んだり、知らなかった人は内藤さんを通して好きになったりするのだ。

 

忙しかったけれど、笑顔に囲まれ、温かい気持ちになれるような優しいエッセイを読み、とても楽しいひと時を過ごすことができた。

そして、無理しても行って良かったと思いながら、内藤さんの似顔絵に負けないほどの笑顔でデイケアから帰宅する夫を迎えた。