えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

小さな喜び

数日前、見慣れた文字の封書が届いた。

働いていた頃の同僚からだ。同僚と言っても私よりはるかに若い。

封を開けると、中には手紙のほかに絵はがきが3枚入っていた。

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職場には役職者の会があり、年に一度、この時期に1泊旅行に出かけている。

今年は伊豆・箱根に行ってきたそうで、そこで絵はがきを見たら私のことを思い出して買ってきてくれたという。そういえば、去年は竹田城跡の幻想的な絵はがきをいただいたのだった。

 

彼女とは私が退職してから会っていない。だけど、仕事ができる彼女にも苦手分野があり、退職後も数回メールで相談に乗っていた。そうはいっても私には大したことができるわけでもなく、ほんの少しアドバイスをしただけだけれど。あとは年賀状だけのお付き合いだ。

 それなのに、旅行に出かけた先で絵はがきを見つけたら、絵はがきが大好きな私のことを思い出してくれるなんて。それだけでもうれしいことだけれど、それを買って送ってくれるなんて何と幸せなことだろう。退職してすでに5年以上経つというのに。うれしいを通り越し、感謝・感謝の思いで何度も絵はがきを眺めている。

「金子通世&リメイク教室作品展」を見に行った

偶然見つけた「金子通世リメイクバック作品展」という案内はがきに目が留まり、友人を誘い、見に行ったのが3年前の5月のこと。

喫茶店のギャラリーで開催されたその作品展の素晴らしさに感動し、その思いをブログに書いた。

emukobb.hatenablog.com

その時、金子さんご本人からコメントをいただき、またまた感動したことを覚えている。そして、はてなではないけれど、彼女のブログを見つけ、それからほぼ毎日更新されるブログを訪問するようになった。ブログにはリメイクされたステキな作品がアップされているのでいつも楽しみに読ませていただいている。

 作品展もそれから毎年見に行くようになり、今年の作品展が火曜日から始まった。

 

ふれあい音楽会の後、いつもは帰りの道中にあるおすし屋さんでランチを食べ、一緒に行った友人宅でおしゃべりするのだけれど、今回はちょっと足を延ばし、作品展をやっている喫茶店に行き、そこで食べることにした。 

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金子さんは地元のミシン屋さんで「リメイクバック教室」を、NHKの文化センターで「リボン刺繍」と「リメイクを楽しむ」という教室を持ち、その教室の生徒さんたちとの作品展を毎年開催してみえる。

 

手作り大好き、袋物大好きな私は「手作り展」の情報を得ると見に行きたくなるのだけれど、その中でもこの作品展は一番ステキだと思っている。それほど素晴らしい。

それは作品も素晴らしいものばかりだけれど、リメイクを推奨する金子さんの思いが詰まっているように感じ、生徒の皆さんが文字通りリメイクを楽しんでいるのが伝わってくるのだ。

着物あり、帯あり、スカートも、ジーンズも、カーテン生地も・・・ それらが見事にリメイクされステキなバッグやブローチ、タペストリーなどに生まれ変わっている。それらはただリメイクしただけでなく、リボン刺繍をあしらってあったり、ご自身で刺した刺し子や染めた布と組み合わせてあったり。しかも、ステキなだけでなく、使い勝手がよさそうなモノばかりだ。友人共々、喫茶店にいる間に何度「ステキ~!!」と言っただろうか。

 

実は、訳あって、翌日も違う友人と見に行った。

その日は金子さんご本人がいらして、作品を手に取り、いろいろ説明してくださった。リメイクを推奨されているとはいえ、作り方やアイデアまでも惜しげもなく教えてくださることがすごくうれしく感動した。

「手作り展」を見に行くとき、どんな風に作っているのかとても興味があり、手に取ってよく見てみたいと思う。だけど、触ってまで見るのは何だか悪いような気がして見ることはできない。それが、この作品展では「どうぞよく見て行ってください。マネしてください。タンスにしまって置かずにリメイクしましょう」と言っていただけるのだ。それは金子さんのすごいところだと思う。もちろん、見せていただいた後は元どおりきれいにしておくことは忘れずに。 

 

「断捨離よりもリメイクを」という金子さんの文章が地元の中日新聞に掲載されたそうだ。それがCBCテレビの人の目に留まり、夕方の「イッポウ」という情報番組の取材を受けられ、放映された。

これはその時のUチューブ。これを見ると、リメイクの素晴らしさが伝わってくる。 


オオバミシン kaneko

因みに「この番組を見て作品展を見に来た」というご婦人とその娘さんがみえた。そして、一緒に説明を聞いた。こうしてリメイクやリボン刺繍のファンが増えていくのだ。私もそのひとりだけれど。

ふれあい音楽会⑪

水曜日は今年度11回目のふれあい音楽会だった。

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今回は「ファンタジー音楽館」 ~魔法の世界へひとっ飛び!~ と題し、エレクトーンとクラリネット2本で結成された「トリオン」というユニットの演奏会だった。

 

私には音楽の専門的なことは分からない。だけど、クラリネット木管楽器だからかもしれないけれど、何となく穏やかというか、温かいというか、懐かしくなるような響きを感じていた。とはいえ、今まではオーケストラの中で、しかも2回しか生で聴いたことはないのだけれど。だから、今回も楽しみだった。

 

演奏された曲は一部、二部、合わせて10曲(+アンコール1曲)。そのうち3曲はクラリネットだけで、あとはエレクトーンと一緒だった。

エレクトーンはいろんな音が出せるのですごく華やかになるし、演奏も上手だった。だけど、個人的には1台でいろんな音を出し、スピーカーから聞こえるエレクトーンの機械的に感じる音色より、どちらかというと個々の楽器から直接流れる音のほうが体に響く音の伝わり方が違うような気がして好きだ。そんなことを言うと、エレクトーン奏者に申し訳ないような気がしてしまうのだけれど、それはただ単に私の楽器に対する好みの問題なので仕方がない。

それでも演奏会自体はいつもと同じように楽しいものだった。曲目はテーマに合わせて選曲され、それぞれの曲に対するエピソードを交えた解説、楽しませるトークなど等、工夫されていた。何より、ステキな女性たちだと思いながら演奏を楽しむことができた。

この「ふれあい音楽会」はいつも思うことだけれど、地域に根差した本当に素晴らしい音楽会だ。

庭の花

このところいろんなことがあったり、忙しかったりで、ちょっと疲れ気味。

 

でも、今朝、裏のお宅からのこぼれ種で生えてきたコスモスが咲いているのを見つけたら少しだけ身も心も軽くなったような気がする。 

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風に揺れるコスモスの花はとってもステキだと思う。本当はそんなコスモスを見に出かけたいけれど、今の私にはそんな時間はない。

 

裏のお宅のフェンスの前には3mぐらいにわたってコスモスが植えられている。もうしばらく前から咲いているけれど、まだまだ見ごろだ。そこからのこぼれた種で我が家の庭でも今年は3本が生えた。まだこれしか咲いていないけれど、このコスモスを眺めているだけでも心が和む。

 

今週も、来週も忙しい。楽しいことも含まれてはいるけど、夫がデイケアに行き、私が自由になれる月・水・木のすべてが予定で埋まってしまうと、いくら自分の用事であっても、楽しいことでも疲れがたまってしまう。何と贅沢なことだろう。

 

この間は1輪しか咲いていなかったシュウメイギクも今はこんなに咲いて私の心を癒してくれる。 

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紅葉とか、花とか見に出かけたいと思うけれど、思うようにはいかない。

もう少しすれば庭の小菊も咲き始めるだろう。

どこにも出かけられなくても、こんな風に季節ごとに庭の花を楽しめるのだから幸せなことだと思うことにしよう。

歯医者さん&山下清展

日曜日の昼食時、夫は被せてあった銀歯が取れてしまった。

外れてしまったのは今回で3回目だ。初めて取れたのは2015年の1月だったから1年8か月前のこと。

その時、歯医者さんから「この歯はもう抜くレベルだけれど、痛みや腫れがないのなら無理に抜く必要はない。かといって、新しい歯を作ることはしないのでくっ付けておきましょう」と言われ、外れてしまった歯を抜くときが来るまではと接着してくれた。そして、その後は掃除と検診のため、毎月受診するようになった。

 

次回の予約は28日。外れてしまった歯はあまり長いこと放っておくと合わなくなってしまうらしい。で、昨日病院に電話で相談したところ、今日の10時にキャンセルが出たからと予約が取れた。

 

今日は11時20分から訪問リハビリの日。リハビリは休みたくはないけれど、10時の受診では戻れるだろうと思っても間に合わない可能性もある。もしものことを考え、訪問リハビリはやむなくキャンセルした。

 

歯医者さんの診察は順調に終わり、取れた歯も無事に接着してもらえた。

「やっぱり間に合ったか・・・」と思ったけれど、残念ながら、もう訪問リハビリはキャンセルしてある。

 

台風は来ているけれど、今日の東海地方は束の間の晴れ。

それなら、よんばばさんが行かれ、私もいつ行こうかと迷っていた「山下清展に行くことにした。

yonnbaba.hatenablog.com

 

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山下清展」は30年ぐらい前にも地元の美術館で開催したことがある。その時は次男がまだ小学1年生か保育園の年長ぐらいだったような気がする。家族4人で観に行ったのだけれど、山下清の緻密な貼り絵に子どもが、特に次男が目を輝かせ、真剣に観ていた。もちろん、夫も私も長男も、だけれど。

 

展覧会は平日にもかかわらず、かなりの人が観に来ていた。

作品は少年期から放浪へ、放浪期から画家へ、円熟期から晩年へと、年代ごとに分けられ、出品目録によると貼り絵、鉛筆画、ペン画、油彩、水彩画、版画、壺や大皿等、131点が展示されていた。

  

よなばばさんも書かれているように、水彩も油彩も素晴らしかった。けれど、何といっても気の遠くなるような緻密な貼り絵は本当に素晴らしいと思った。映像や印刷物でもすごいなあと思うけれど、実物を前にするとその世界に引き込まれ、あまりの素晴らしさに見入ってしまい、感動だった。

 

作品の隣には素直な清の言葉が添えられ、花火のところにはこんなことが書いてあった。

みんなが爆弾なんかつくらないで きれいな花火ばかりつくっていたら きっと戦争なんて 起きなかったんだな

 

左端が今回購入した図録と絵はがき。右が30年ぐらい前の展覧会で購入した図録。山下清東海道五十三次は10年ぐらい前に二川本陣で購入した図録。 

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これは山下清のペン画に刺激を受け、夫がまだ元気だったころに描いたあけび。 

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訪問リハビリは休んでしまったけれど、今日はそれ以上に価値ある一日だったと思う。

介護の一首から

以前、月曜日の朝刊の楽しみに朝日歌壇・俳壇があると書いたことがある。

とはいえ、短歌も俳句も素養があるわけではないものだから、ざざっと拾い読みする程度。それでも、中に共感する思いに出会えたり、グサッとくるものに考えさせられたㇼ、キラッと光る作品に出会えたりすると、ただ単にうれしかったり、幸せな気持ちになったりするのだ。

 

この間の月曜日、永田和宏氏選の第一首にこんな歌があった。

無理するなと言われたところで介護する私が楽になる訳ぢやない

 これは仙台の女性の投稿作品。

この方はどういう方を介護しているのかわからないけれど、私も夫を介護している身。素直に「そうなんだよな・・・」と思った。

 

私も「無理するな」と言われたり、「大丈夫?」と聞かれたり、「頑張ってね」と言われることがある。そんな時、正直、何と答えようかと思う。たぶん、「大丈夫」とか「ありがとう」と答えているのだけれど。

 

私は夫と二人暮らしの老々介護。夫は要介護4でほとんどの生活行為に一部介助が必要な状態。介護保険デイケアと訪問リハビリは利用しているけれど、他には手助けを頼める人はいない。だけど、夫は寝たきりというわけでも、状態が悪くて全身管理が常時必要な状態でもない。だから、看護師として急性期病院で勤務していたときのことを思えば夫ひとりの介助なんて大したことではないと思っている。

それでも時々、誰かに少しだけ手伝ってほしいと思うことがある。それができないのは下の世話のため。デイケアで介護のプロに頼むのとは違い、たとえ姉であっても意識があり、まだ恥ずかしいという気持ちを持っている夫の下の世話は頼めないから。

 

きっと、「無理するな」と言ってくれる人は介護している人を労わってくれているには違いないと思う。だけど、私にはこの歌を投稿した方の気持ちが痛いほどに伝わってきた。

ふれあい音楽会⑩

今日は今年度10回目のふれあい音楽会だった。

テーマは 「いつもの二人」  ~ 秋を探しに・・・♪ ~

 

そして、奏者はバイオリンとピアノの若くてとってもさわやかな二人組。

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1部の始まりは葉加瀬太郎さん作曲のワイルドスタリオンズ 。

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バイオリンはよくわからないけど、好き。高音の澄んだ音色も低音の音色も。

 

小学校の時、まこちゃん(仮名)という友人がいた。当時、1クラスに50人以上いて、5クラスもあった。それなのに、まこちゃんとは1年生から6年生の時までずっと同じクラスだった。まこちゃんは背が低くて一番前。私は後ろから2番目だったけれど、どういうわけか仲が良かった。

そのまこちゃんがバイオリンを習っていた。彼女のお父さんはお医者さんで、お母さんは大学教授の娘さんというような、いわゆる家柄がいいお嬢さまだ。私はというと、学校が終わるとランドセルを放り投げ、遊びに行くような極々庶民の子だ。それでもやっぱり仲が良かった。

 

まこちゃんのところに遊びに行くと、小母さんが「えむちゃん、上がってちょっと待っててね」と言い、まこちゃんのバイオリンのけいこが終わるまで遊ばせてもらえなかった。

私はいつもバイオリンのけいこが終わるまで二人の姿を見ながら待っていた。それが案外楽しかったのだ。まこちゃんがバイオリンを弾き、小母さんが「キキキー、キキキー」と口でリズムをとる。小学校低学年の子の練習だから同じところを何回も弾いたり、躓いたりもする。小母さんが「違うでしょ、キキキー、キキキーでしょ」と怒る。私には上手なのか下手なのかもわからなかったけれど、とても楽しかった。

 

それでなのか、何だか好きで今までにも何人かのコンサートに行ったことがある。まだテレビに出始めたころの葉加瀬太郎さん、高嶋ちさ子さん、河合郁子さんなどなど。

 

今日の二人は若いけれど楽しませ方を知っているというか、進行も上手で、トークも楽しくて、とてもよかった。もちろん、バイオリンの演奏もピアノの演奏も素晴らしかった。

 

曲目も葉加瀬太郎さんの曲が2曲。青島広志さんの楽しい曲、バイオリン奏者であるご本人が作曲したしっとりとした曲、激しい曲、アイルランド民謡などなど。

他にもピアノ奏者がピアニカ(鍵盤ハーモニカ)を演奏し、「証城寺の狸ばやし」と「夕焼け小焼け」をものすごく楽しいアレンジでバイオリンと協演したりと趣向を凝らし、とても楽しませてくれた。

最後の曲「チャールダッシュ」ではバイオリンを弾きながら会場を駆け巡るというもの。冷房もないような蒸し暑い会場をバイオリンを弾きながら走り回る彼に聴衆は扇子を扇いで風を送り、会場が一体になっていた。

ほんとうに「ふれあい音楽会」という言葉がふさわしい、とても楽しい音楽会だった。

 

今年度、残りはあと5回。こんな楽しい音楽会だもの、私は皆勤の予定でいる。