えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

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この間、夫が歯科受診中に待合ホールに置いてある地方紙を読んでいた。そこに地元のとある団体がタイに車いすを寄贈したという記事が載っていた。台数は覚えてないけれど、新しい車いすだけでなく、県内外の病院や介護施設、一般家庭で不要になった車いすを引き取り、それを地元の工業高校の生徒さんたちが修理し、かなりの台数を贈ったそうだ。そして、最後に不要な車いすがあれば引き取りますとあり、連絡先が書いてあった。

 

我が家には義母のために購入した車いすが1台、物置で眠っていた。購入した当時、義母は要支援だったか要介護1だったか忘れたけれど、ケアマネからリースの対象にはならないと言われた。だけど、歩行もままならず、病院受診するのも大変だったので購入した。

その車いすも必要がなくなり、もう5年以上が経つ。元々病院に行くときにしか使ってなかったものだから年数が経ったとはいえまだまだきれいな状態で処分できないでいた。

 

夫が倒れたのと同時期に 義母は車いすを使わなくなった。それなら、その車いすを夫が使えばいいと思われるかもしれない。だけど、家にあるのは極々一般的な介助用車いすであり、夫は自走式で、しかも肘の部分を跳ね上げたり、足の部分を取り外したり開閉できるもののほうがいい。もちろん、一般的な介助用でも屋外用でなら使えなくはない。だけど不自由なだけに少しでも快適なものをと思い、介護保険を利用し、室内用と屋外用の車いすを1台づつリースしているのだ。こういったことが介護保険のパンクに繋がるかもしれないと思いながら。

 

使う人がいなくなったとはいえ、粗大ごみに出す気にはなれず、そうかといってもらってくれる人も見つからず、物置で眠ったままになっていた車いす。この団体に引き取ってもらえれば、きれいに整備してもらえ、また誰かの役に立つだろう。この国では必要ならば介護保険でリースできるけれど、介護保険もお金もなく、どんなに車いすが必要でも使えない国の人がいる。そんな人に使ってもらえれば、この車いすも喜んでくれるに違いない。そう思い、新聞に書いてあった連絡先に電話した。そして、木曜日に担当の方が引き取りに来てくれた。

これで、来年はどこかの国で、車いすを必要としている人の役に立ってくれるだろう。

役に立てれば、車いすも、私もとてもうれしい。そう思いながらそっと車いすを撫で、見送った。