朝食を食べると、えむこが片づけをしたり洗濯物を干したり掃除をする間、夫はいつも新聞を読んでいます。
夫は脳出血で倒れる前、えむこより老眼が進んでいてメガネなしでは新聞を読むことができませんでした。でも、今はメガネがなくても見えるというのです。
夫は失語症で話すことも書くこともできないけれど、人の話を聞くことや活字を読むことはできると思います。でも、どの程度理解できているのかは実際のところは分かりません。えむこは夫の反応から90%は分かっていると思ってはいるのですが・・・
数日前のこと。
いつものように新聞を読んでいた夫がえむこが朝の仕事を終えて部屋に入ると、手招きをするのです。そして、新聞を開き、何かを言いたいようすです。
えむこはいつものように「気に入った絵(イラスト)でもあったのかしら」と思ってみていたら、記事をトントンと指さし、えむこの顔を見るのです。
それがこの記事。
朝日新聞の生活面に掲載されている「55プラス」というコラム。
「絵手紙を送ろう」というシリーズの3回目の記事でした。
「55プラス」はセカンドライフのチャレンジを後押しするコラムです。http://adv.asahi.com/modules/feature/index.php/content0563.html
昨年4月から始まったこのコラム、えむこは毎日楽しみにしている記事なのでいつも読んでいました。
今までにも「風景画を描く」とか絵に関するものもあったけど、夫は気が付かなかったのでしょうか。
それで、1回目、2回目に記事を切り抜き夫に見せました。翌日には最終日の4回目の記事も・・・
4回目の記事には『小池邦夫絵手紙美術館で今年の夏に「絵手紙フェスティバル」を開催。31日必着で「花」をモチーフに絵手紙を募集中』と書いてありました。夫はその部分をトントンと指さし、ニコニコ笑いながら、声を出してえむこに教えたのです。
こうなると、完全に分かっていると思いますよね。
実際には描かないけれど・・・
描きたい気持ちはあるのだと思います。
机の上には鉛筆も筆も、もちろん筆洗いも置いてあります。
これは「文章が書けないから、絵日記を書いてみようか」と夫がA4のスケッチブックに書いたものです。
描けばいいのにね・・・
これは夫が何年も前に描いたのハガキ絵です。
記事には小池邦夫さんの言葉「ヘタでいい、ヘタがいい」と書いてあります。それに中川一政さんが小池邦夫さんに言った言葉「書がかければ絵がかける」という言葉も。
夫が以前のように「描きたい」という気持ちがあることは明白な事実だと思います。
さあこれから、えむこはそれをどのように引き出してあげればいいのだろうか・・・