えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

子どもの日

長男が生まれた翌年の春、父は五月人形とこいのぼりをくれた。

結婚した時、すでに母親が他界していた私のために、母方の叔母たちは「えむこさんのところにこいのぼりを届けないと・・・」みたいに、何かと父にアドバイスをしてくれたようで、父はお祝いを欠かすことなくしてくれた。

それから毎年、4月に入ると床の間に五月人形を飾り、庭にはこいのぼりを上げた。

二男が生まれた翌年には緑色の子鯉も買ってくれたので、子どもの日までは雨でない限り、こいのぼりを上げるのが私の日課となった。

子どもたちが保育園の時はお迎えのバスが来る前に上げ、帰りのバスが来て、子どもたちが家に入ってから下すようにしていた。我家の子どもたちだけでなく、バスに乗っている子どもたちも大空に気持ちよく泳ぐ吹き流しや真鯉に緋鯉、そして青色と緑色の子鯉を指さしては歓声を上げたものだ。

 

長男が小学校に入学する年の3月、夫の両親と同一敷地内で暮らすために引越しをした。

当時、敷地内に建っていた独身向けのアパートの1室で暮らし始めた我家には五月人形を飾るスペースはなくなってしまった。

それでも、こいのぼりは庭の一角に立ててくれたけれど、この辺りはものすごく風が強い地域。強風に煽られ、アルミ製のポールが倒れそうになってしまったのだ。それ以来、危険だということで、こいのぼりも立てることがなくなった。

 

今日は子どもの日。

デイケアは祝日でもお休みではないので、夫は予定通り出かけて行った。

私はその間にお墓参りと、駅近くの大型書店に行って来た。

この辺りはまだまだ田舎なので、最近は小さくなったとはいえ、こいのぼりが泳ぐ姿を見ることができるのだ。だけど、今日はあいにくの雨。最後の日だというのに道中でこいのぼりを見ることができなかったのはちょっと残念だった。

 

書店では予定していた本を買い、今日は児童書のところにも立ち寄った。

 

正月に長男家族が帰省した時、孫たちのママから子どもたちが小さい時に読んでいた絵本がまだ残っていないかと聞かれた。家では寝かしつける時に読み聞かせをしているそうで、残っていればそれを読んで聞かせたいと。

私も子どもたちを寝かしつける時、読み聞かせをしていた。

けれど、長男が保育園の年中の時、夫は自営業に転身して貧乏暮らしが始まった。

 それ以後、本を買うゆとりはなくなり、図書館で借りたり、自作のでたらめな話を聞かせていた。それ以前に買った本はみなぼろぼろになるまで読んでいたので処分していた。だから、1冊も残っていないのだ。もう30年以上も前のことだから、なくてもおかしくはないのだけれど。

 

この間、孫たちのママからのメールにはお盆に帰省する予定とあった。

今までに何度か孫に絵本をプレゼントしようとしたことがある。だけど、その度に夫から「親の意向があるだろうからやめておけ」と言われてきた。

プレゼントではなく、我家に来た時、読み聞かせができるように置いておくならいいだろう・・・

そんな風に思い、私の好きな本を買うことにした。

で、先ずは2冊。

新美南吉の「手ぶくろを買いに」と、ロシアの昔話「おおきなかぶ」を選んだ。

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 どちらも私自身が大好きなおはなしだ。

そして、おおきなかぶの絵は大好きな彫刻家の佐藤忠良が描いたものでもある。

佐藤忠良はこの絵を描くために蕪を買ってきては日夜眺め、腐ってしまうとまた買ってきては眺めていたそうだ。

孫の読み聞かせのためと思いながら、自分が嬉しくなってきた。

 

父のことを思い出し、子どもたちのこと、孫のことを思う、今日の子どもの日だった。