えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

44年ぶりの再会は畑の中のレストランで

この間の土・日は看護学校のクラス会だった。

以前にも書いたけれど、私はクラス会には出たことがない。今回ももちろん欠席だった。いつもだったら出欠のハガキを出したらクラス会のことなど忘れてしまうのだけれど、今回は中学・高校も一緒だった同級生から「 クラス会の後実家に帰省するから遊びに来ませんか?」と、何度か誘いの電話があったので覚えていた。

 

彼女は山口県に嫁ぎ、年に3回は帰省しているという。それでも看護学校を卒業して44年間、私たちは一度も会っていないのだ。学生時代からそんなに話したわけではないし、仲が良かったわけでもない。だからどうして急に連絡があったのかもわからないぐらいだ。「年を取って懐かしくなったのだろうか・・・」と思いながら、私はどうしたものかと少々戸惑っていた。

でも、2度3度と電話を貰うと「これもご縁だ」と思うようになり、「確約はできないけれど」と伝えたうえで、会う約束をした。確約ができないというのは夫がその日デイケアに行けなければ会えないからだ。

 

彼女は「実家に来てほしい」と言った。彼女のご実家は我家からだと車で10分弱ぐらいで行けるところのはずだ。だけど、私は一度も行ったことがないし、説明されてもすごくわかりにくいところだ。それで歯医者さんの受診が終わったら電話をすることにした。そうすれば近くまで出てくれると言うので。

それでも前日には卒業アルバムで住所を調べ、ネットで行き方も調べておいた。そして電話番号も。

 

ところが、電話番号が違っていたり、家はわかったもののチャイムを押しても返事がなかったりで会えなかった。彼女からは「お昼を一緒に・・・」と言われていたけれど、チャイムを押しても返事がないのだから仕方がないと、玄関先に置手紙を残して家に戻った。

すると、昼前に彼女から電話がかかってきた。私から携帯に電話があると思い、畑の手伝いをしていたそうだ。私は彼女の携帯電話の番号は聞いていないけれど、彼女は我家の固定電話に電話したからそれでわかると思っていたという。まあ、確認しなかった私が悪いのだけれど。で、結局午後から再度出かけることにした。

 

ご実家に着くと、今度は家で待っていてくれた。

44年ぶりの再会は、お互い随分年を取っていたものの学生時代の顔そのままだった。

 

彼女は「畑の中のレストランに行こう」と私を誘い、「その前にあちこち付き合って」と言った。そして自分の車について来てほしいと。

私が「なんていう名前のお店?」と聞いても「畑の中のレストラン」というだけで、「その前に何か所か付き合ってね」と言い、狭い農道を走り出した。

「そんな名前のレストランなんて聞いたことがないけれど何処だろう・・・」と思いながらついて行くと、まずは金柑の木のところで止まった。そして実を採ってほしいと言うのだ。それは山口に持って帰る分と、私へのプレゼントだった。

 

次はスモモの老木のところで止まった。彼女はこの木を私に見てもらいたかったそうだ。カメラを持っていなかったので写真がないのが残念だけれど、ものすごく立派な大木だった。午前中は車に入れてあったのに・・・と、私は残念でならなかった。

 

次に着いたところには、私の大好きなシャラノキが見事に花をつけていた。2メートルはあろうかと思われるシャラノキも写真に収められなかったのがものすごく残念でならなかった。怒られそうだけれど、彼女と会ったことよりこのシャラノキを見ることができたことの方がずっとうれしいと感じたぐらいだ。シャラの脇には私が好きなどくだみの花もたくさん咲いていたし。

 

シャラノキの横は広大なブドウ畑だった。

そして、彼女はブドウ畑の扉を開け「どうぞ畑のレストランへ」と、私を中に案内した。

ブドウ畑の中にはテーブルとイスが置かれ、テーブルの上にはポットとお菓子、スティックのコーヒーや麦茶が準備してあった。 「どうりで彼女は名前を言わなかったわけだ」と、私はやっと「畑のレストラン」の意味に気が付いたのだ。鈍いよね。

 

カンカン照りではないお天気。そして、さわやかな心地よい風が吹き抜ける広大なブドウ畑。私はそんな「畑のレストラン」が大いに気に入った。

 彼女は今回のクラス会のこと、次回のクラス会のこと、卒業してからのこと、今の生活や家族のこと・・・など等、次から次へと話してくれた。

電話では「写真をいっぱい持ってきたから」と言っていたので、今までのクラス会の写真や同級生の写真だと思っていたけれど、それは彼女の孫たちの写真だった。その辺の感覚がやっぱり私とはかなり違うのだと思ってしまうのだ。明るくていい人なんだけれど、それ以上にはなれないというか・・・

 

帰り際、彼女は私が大好きだと言ったものだから、シャラの枝を切り、どくだみの花を摘み、バラとアルストロメリアの花も切って、持たせてくれた。

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どくだみとシャラは別の花瓶に活け直したけれど、とりあえず全部一緒に活けて写真を撮り、それを絵はがきに仕立てた。

そして今日、「ステキな畑のレストランにお招きいただきありがとうございました」と書いて、ポストに投函してきた。きっと明日、遅くても明後日には着くだろう。