えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

出かけることは大変だけれど

10月は私が毎年楽しみにしている「内藤勲の似顔絵ッセイ展」がある。

図書館の展示コーナーで開催される(といっても部屋にはなっているけれど)地味な展覧会だ。でも、とてもいい。私は毎年「これだけは外せない」思っている展覧会なのだ。

 

デフォルメされた似顔絵はインパクトがあって面白い。だけど、内藤さんの似顔絵はみんな笑顔ばかり。いくら強面の方でも笑顔だ。内藤さんにかかればその人の内に秘められた優しさは丸裸にされる。笑顔ばかりの似顔絵には強烈なインパクトはないけれど、優しさに満ち溢れた似顔絵を観ていると私までが温かく幸せな気持ちになってくる。だから大好きなのだ。

それと、ほかの展覧会の時には似顔絵だけだけれど、10月のこの展覧会だけはエッセイが添えられている。そのエッセイがまたいいのだ。そこにはモデルに対する内藤さんの「好きだ」という思いが凝縮されているようで興味深い。私は知らなかった人でも、そこから興味がわき、その人の本を読んでみたくなったり、CDを聞いてみたくなったりするのだ。

  

今年はそのパート21。

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もう何回も書いていると思うけれど、私はたぶん1回目か2回目から夫が倒れた年を除いて毎年観に行っている 。大抵は夫と一緒に。

  

今年も案内状をいただいていた。会期は10月1日から18日まで。日にちがあるようだけれど、夫が週3回デイケアに行くようになってから、平日に空いている日がなくなってしまった。土曜日も訪問リハビリがあるので、夫と一緒に行こうと思うと日曜日しかないのだ。それもお天気が良くて、朝のうちにお通じが済んでいないと出かけられない。

 

先週はお天気が良かった。

で、4日の日曜日に行く予定だった。ところが午前中待ってもお通じがない。「なくても行こうよ」と言ってみたけど、お腹をさすって首を横に振る。それなら昼食を食べてからにしようと思ったら、食後はテーブルに突っ伏し起きてはいられないような様子。それでその日は諦めた。今度は7日の水曜日に「デイケアを休んで行かない?」と誘ってみた。ところが返事はNOだった。あとは11日と最終日の18日しかない。ところが11日は雨の予報。私一人ならいいのだけれど、車いすの夫と行くためには雨の日は避けたい。「最終日に行くしかないか・・・」と思ったけれど、その時の天候や体調によって行けない可能性もある。

 

我が家から会場までは車で1時間弱。訪問リハビリの日の午後からでも行けないことはない距離だ。だけど夫はいつも昼食後は昼寝をしている。デイケアでは寝ていないのだから起きていられないことはないけれど、私が一息つきたいこともあり午後からはよっぽどのことがない限り出かけることはないのだ。

 

それでも行きたい気持ちのほうが勝り、昨日、訪問リハビリを終え、昼食を食べてから行ってきた。

 

今回は下のパンフレットの右上に書いてある16名の似顔絵ッセイだった。

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 やっぱり、どの人も、どの人も、どの人も、みんなよかった。

車いすの夫には細かい字のエッセイが読めたかどうかわからない。でもにこやかな表情で観ていたから勝手に良かったのだと思っている。

 

内藤さんは自身の似顔絵のようにいつもにこやか。笑顔が似合う穏やかな方だ。   

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出かけようと思うと、行く前も行く時も大変なエネルギーがいる。だけど「やっぱり行ってよかった」と思える展覧会だった。