水曜日、朝から雨が降っていた。
祝日だけれど、夫はデイケアの日だ。夫が出かけると、私は庭仕事はできないので片付けをすることにした。片付けたいところは山ほどあるけれど、先ずは台所から。
雨は降っているし、水曜日は買い物に行かなくても夕食の準備はできる。なので外出する必要はないのでいつもより時間はたっぷりある。
台所に籠り、夢中で片付けているともう昼だった。休憩するともうやるのが嫌になりそうだったけれど、手を付けたところはほぼ片付き、あと少しの状態だったので 冷凍庫に残っていた餅と白菜とちくわで雑煮を作り昼食にした。
ちょうど食べ終えた頃、玄関のチャイムが鳴った。飛び込みの営業マンか、訃報回覧か、それぐらいしか滅多に訪問ががない我が家。どなただろうかと出てみると、年配の男性が立っていた。そして「〇〇に勤めている〇〇というものですが・・・」と名乗り、ちょっと口ごもりながら「先生(夫のこと)が亡くなられた聞いたものですから・・・」と言うのだ。
私は夫の友人も、仕事関係の知り合いもほとんど知っている。その方の勤める会社は隣の市にあり、私も行ったことがある。その方とは面識はないけれど、名前は聞いたことがあるようなないような、記憶は定かではない。だからそんなに親しくはなかったと思う。
「夫が死んだ」と、どこで、だれに聞いたのかはわからない。聞いてお参りに来てくれたのか、それとも状況を確認に来ただけなのか 、それも分からない。だけど、世間の噂では夫は死んでしまったことになっているようだ。
その方には7年前に脳出血で倒れたこと、たくさんの障害は残ってしまったけれど元気でリハビリに励んでいること等などを話し、お帰りいただいた。
まあ噂だからいいけれど・・・
残りの片づけをしながら「来る前にきちんと確認してから来ればいいのに」と、やっぱりあんまりいい気分ではなかった。