えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

美術館へ

我家は2人ともNHKのEテレで毎週日曜日に放送される「日曜美術館」という番組が好きで、録画をして観ています。もちろん、リアルタイムで観ることができる日はリアルタイムに観ていますけれど。

その番組で5月に放送した「フランシス・ベーコン展」を愛知県の豊田市美術館で開催中です。会期は9月1日まで。

こちらは日曜美術館の記事。

http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2013/0505/index.html

こちらは豊田市美術館の「フランシス・ベーコン展」の案内です。 

http://www.museum.toyota.aichi.jp/exhibition/2013/special/bacon.html

6月から開催中だったけれど、9月1日まで開催しているので「そのうちに行けるだろう・・・」と思い、梅雨の時期は避けていました。

でも、もうそろそろ出かけないと、せっかくの機会を逃してしまうと思い、この間から夫を誘っていたのです。

今朝も「今日は何にも予定がないから豊田市美術館に行かない?」と。豊田市美術館まではナビで見ると、1時間強。車いすの夫と2人でも2時間みておけば十分行くことができるのです。

私の予定では「10時頃に家を出て、豊川インターから東名高速に入り、昼前に美術館に到着。美術館内のレストランで昼食を摂り、その後、ベーコン展を鑑賞。17時頃には家に帰って来る」あるいは、「11時頃出発して、東名高速のSAかPAで昼食を摂り、ベーコン展を観てから美術館内のレストランでコーヒーを飲んで帰って来る」という計画だったのです。

高速を使って行けばトイレだって心配ないと思うのです。トイレに行きたくなっても、豊田インターまでには赤塚、美合、上郷と3か所もトイレ休憩ができるところがあるし、絶対に多目的トイレがあるから。

でも、夫は返事をしないのです。

無理に誘っても仕方がないので諦めていると、昼近くにお通じが2回。

すると、昼食を食べてから、いつもだったらお昼寝をするのに、夫は玄関に行き、外を指さすのです。

「外出したいってこと?」と聞くと頷き、「豊田市美術館に行くってこと?」と聞くと、やっぱり頷くのです。

もう、13時20分。いくらナビで1時間強といっても考えてしまいますよね。

でも・・・

その時間に出発しても遅くても15時には着けるだろう。常設展を観なければ16時までには観ることができ、レストランでコーヒーぐらい飲めるかもしれない。17時に帰路についても、19時前には家に着けるだろう。夕食はマグロの刺身があるし、牛蒡の煮物も残っている。あとはナスを煮て、サラダでも作れば何とかなる・・・

等など、頭を中を駆け巡ります。

夫が「行く」というこの機会を逃したら、多分もう行けないだろうと思います。遅くなったらその時はその時。それで、頑張って出かけることにしたのです。

「ベーコン展はどうだった?」って・・・

それは私には書けません。私には「よかったよ」ぐらいの事しか言えないので。

夫はどうどうだったのか分からないけれど、ある映像の前では車いすから健側を下し、見入っていたから感じるものがあったのだと思います。

14時30分ごろ着き、約1時間絵を観て、予定通りレストランに行きました。

「レストランに行く?」と聞いた時には首を横に振る。でも、レストランの前に行くと「入れ」と指さす。こういう時は「夫はやっぱり失語症なんだ」と思います。分かっているようで分かってないから・・・

注文の時も「コーヒーにする? ケーキセット?」と聞くと、パフェを指さし、それにすると。でも、パフェが出てくると首を傾げて、思っていたものと違うというリアクションをするのです。それで、私が注文したケーキセットのティラミスを欲しそうに眺めているのです。もちろん、半分あげましたよ。その代り、パフェは全部食べきれなかったので私が残りをいただきましたけど。

書き出せば、まだまだいろんなことがあった1日だけど・・・

とりあえず、ベーコン展を観に行けてよかったです。

夫にとっても、壊れた左脳ではなく、右脳の刺激だったかもしれないけれど、とにかく脳へ刺激が届いたことだけは間違いないことだから・・・