えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

糸の切れた凧のように

木曜日の夕方、友人から絵手紙が届いた。

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友人とは時々会っているけれど、ここのところしばらくご無沙汰している。そんな時はこうして絵手紙をくれるのだ。

彼女は私より11歳年上。ご主人が亡くなられた後一人暮らしをしていたけれど、息子さんご夫婦の希望で今は同居している。

一人暮らしの時は友人たちがよく遊びに来ていた。だけど、同居するようになってからみんな少しづつ遠慮するようになった。友人は「同居といってもほとんど別みたいなものだから気にしないで来て・・・」と言っているけれど。まあ、彼女の友人たちもみんな年をとり、出かける機会が減ったのかもしれない。

で、最近は毎日何をしようかと考えてしまうと言っている。

 

絵手紙の宛名側には、毎日本ばかり読んでいること、どんな本をどんな思いで読んでいるか、毎日がとてもヒマだということ、など等、下半分にぎっしりと書いてあり「気がむいたらTEL下さいね」と結んであった。

はがきを受け取ったのは木曜日の夕方のこと。「何か心に溜まったものがあるのかも・・・」と思ったけれど、その時点では今日まで私の自由になる時間はなかった。

 

私は、夫が家にいる日は夫中心の生活をしている。夫が昼寝中は草取りをしたり、録画番組を観たりしながら、ホッと一息ついて心を休めている。

そしてデイケアの日には、やった方がいいことや、やりたいことが沢山あって忙しくしている。だけど、どうしてもやらなければならないことは滅多にない。だから、誘いがかかればよほどのことがない限り受けるつもりでいる。

ただ今日は、午前中に一人で行きたいところがあった。だから、それ以後なら会うことができる。

そんなことを書いて、金曜日に返信はがきを投函した。金曜日の時間内にポストに投函すれば、翌土曜日には配達されることは実証済み。だから今日、昼少し前に電話しようと思いながら出したのだ。

 

今日は夫がデイケアに出かけた後、心身ともにリフレシュしたくて息子の車の充電を兼ねて出かけた。昼前には家に戻る予定で。

そして予定通り、ランチに間に合う時間には家に戻り、友人に電話をかけた。

ところが、ヒマだったはずの友人は「孫が来たから出られなくなってしまった」と言うのだ。友人にとっては孫といえども事情があって大事な時期に育てた娘だ。だから孫の方も親に会いに来たのではなく、おばあちゃんである友人に会いに来たのだと思う。

 

いつも「その時都合が良ければ・・・」と言うのが私たちの約束事。だからそれはそれでいいのだ。だけど、私の中では「今日は友人とランチ」と決めていた。だから、やることは山ほどあるにもかかわらず、何かをしようと言う気にならなかった。雨が降っていては草取りはできないし。とはいえ、いつもの買い出しだけは行かなければならない。で、雨が降る中出かけることにした。

 

出かける段になると、久しぶりに本屋さんにも行こうかしら・・・

でも、15日までは緊縮財政だから、本屋さんは立ち読みだけにして、ブックオフにも行こう。108円なら買えるから。

ああ、あそこのスーパーであれを買って・・・

ここにも寄って・・・

と思い始め、まるで糸の切れた凧のようにふわふわと飛び出した。見えない糸ではつながれていたようで、夫の帰宅時間よりずっと前に、ちゃんと家に連れ戻されてしまったけれど。

 

あちこち出かけると、ついつい予算オーバーになる。でも15日になれば、家計は新たな予算でスタートだ。だから大丈夫。財布の中のお金で足りなければ予備のお金も持っている。「たまにはいいさ」と、強気な気持ちが湧いてくる。でも「やっぱり予備のお金に手を付けてはいけない」と思い直し、財布と相談しながらあちこちで買い物をした。

 

結果、予備のお金にまで手を付けることはなかったけれど、財布の中に残ったのは硬貨だけ。ほんとに空っぽになってしまった。もともと財布の中には通常の買物1回分のお金しか入れてなかったのだから当然のことだけれど。

それでも、手には次に読む予定の三浦しをんのエッセイ集と重松清の単行本をしっかり抱え、幸せ気分で帰ってきた。

そして今は、友人とは会えなかったけれど「こんな日も悪くはないな」と思っている。