毎年、カレンダーをかけ替える前に、その年の忘れてはいけないことを書きこんでおく。
例えば、家族の誕生日、記念日、命日・・・等など。
その一つに「内藤勲の似顔絵ッセイ展」がある。内藤勲さんというのは、以前にも書いたことがあるが、地元の似顔絵イラストレーター。
内藤さんのこの展覧会は今年で19回目。だから、私はもう18、19年来のファンなのだ。
それで、毎年10月に開催されるこの展覧会のことは、一年の予定の中にしっかりと書き込んである。
内藤さんは年に何回も個展を開催している。だけど、似顔絵にエッセイを添えた作品を発表するのはこの展覧会だけ。だから、ファンとしては10月の個展だけは欠かせないのだ。そのエッセイが大好きだから。
それで、今日は夫と蒲郡市立図書館まで、その「似顔絵ッセイ展」を観に行って来た。
パンフレットにはエッセイが載ってないけれど、エッセイが添えられていたのは、原由子さん、和田誠さん、鎌田實さん等など、10名ぐらい。
見ての通り、内藤さんの似顔絵は優しい顔ばかり。内藤さんは笑顔しか描かないから。
毎年、展示室の壁3面にエッセイ付きの似顔絵が展示され、似顔絵の下にはその人の関連資料(図書)が並べられている。だけど、今年は1面だけがエッセイ付きで、あと2面は似顔絵だけだった。それがちょっと残念だったけど、それでも見応え、読み応えは十分だった。
内藤さんのエッセイは似顔絵同様優しくて、知らなかった人までも好きになってしまう程の威力があるのだ。今回もステキなエッセイばかりだった。
例えば、和田誠さんの似顔絵に添えられていたエッセイには、こんなことが書いてあった。覚えている内容だけで、そのままの文章ではないけれど。
和田さんは震災後の2011年4月から、表参道のHBギャラリーの奥の控室の冷蔵庫の上の小さな壁にハガキサイズのイラスト10枚を週替わりで展示してきた。その手描きの原画をチャリティーイラストレーションとして1人1枚まで、1枚1万円で販売してきた。そして、その収益金は全て義援金としてきた。それが50週になり、500枚のイラストの作品集ができた。和田さんの作品を一気に観ることができ素晴らしい。と・・・
私は和田さんの作品はよく知っていた。若い頃よく読んだ星新一さんの本の表紙を飾っていたから。だけど、エッセイに書いてあるようなことまでは知らなかった。
こんなエッセイを読むと、表参道のギャラリーまで行ってみたくなる。でも、今は行けないから、せめて「画廊の隅から東日本大震災チャリティー・イラストレーション作品集」が欲しくなってしまう。
実は10年前も、篠田桃紅さんのこの似顔絵ッセイを読んで、高山まで行き、重要文化財の吉島家にある篠田桃紅さんの作品を観てきた。そしてその後、関市にある篠田桃紅美術館にも訪れた。
そんな風に、いつも内藤さんのエッセイを読むと、知らなかった世界が広がり、もっと知りたくなってくるのだ。