ちょっと雲が多かったけれど、今日もいいお天気だった。
朝起きると、夫が目覚める前にまず一杯のコーヒーを飲む。
そして、窓から外の景色を眺めながら「さて、今日はどうしよう・・・」と考える。「今日は向山公園に行ってみようかな・・・」なんて。
我家では例え散歩に行くのでさえも夫のお通じ待ちだ。だから、朝食がすむと「早く出ろ出ろ〇〇ちゃん!!」なんて、品のない言葉に勝手な節をつけて歌いながら、朝の片付け仕事に精を出している。
今日は一通り片付けが済んでも夫のお通じはなかった。仕方がないので先ずは洗髪をし、その時を待つことにした。週に2回デイケアで洗髪するだけでは頭が痒くなるみたいだから。
あと少しで洗髪が終わる頃、ピンポーンと玄関チャイムが鳴った。慌てて玄関ドアを開けると、10㎏入りの三ヶ日みかん一箱を抱えた宅急便の人が立っていた。
送ってくれたのはOさん。
Oさんは30年近く前に夫の設計・管理 で自宅を建てられたお施主さん。それ以来、毎年盆暮れには必ず何某かのものを送ってくれている。夫が元気だった頃にはスーパードライだったけれど、今はこうした果物を。
その頃は虚礼廃止にしたいと思いながらも、こちらも何某かのものを送っていた。
夫が倒れた年の年末は、夫が倒れたことには触れずにお礼状を出した。そして、何某かのものを送ったと思う。
だけど、翌年には夫の状況を 詳しく書いたお礼状を出し、何かを送ることをしなかった。そうすれば、もうやめにしてもらえると思って。でも、それからもずっと送ってくれている。
私はというと、以前夫が描いた絵手紙の中からOさんに出してないものを選び、それに手を加えたものでお礼状を出すだけなのに。
それで、今日はみかんの絵を描くことにした。夫がだけど・・・
「Oさんに出すお礼状だからね」という私に、頷きながら描くのだけれど、やっぱり思うように描けないみたい。何枚も自分で破っては描き、また破っては描き・・・
それでも、何とか3枚描き上げた。
上手く描けないといっても、高次脳機能障害を抱えた夫が左手で描くのだから、回復の過程を見てもらうのもよかろうと思って、左上のハガキを使うことにした。
まだ言葉は書いていないけれど、お礼の言葉の他になんて書いたらいいのだろう・・・
いつまでも心にかけてくれることをありがたいとは思っているし、嬉しくもある。それに、いただいたみかんはものすごくおいしかった。だけど、夫は廃業した身。何かがあってもそれに応えることができない。だから、もう盆暮の贈り物を頂くのは心苦しいのだ。かといって、こちらからも贈るだけのゆとりはない。お金も時間も何もかも・・・
虚礼は廃止するのがいいと思う。廃止してもらいたい。
だからといって、直接的な言葉は書きたくない。虚礼とは思ってないのかも知れないし、好意を踏みにじる結果になると悲しいから。
これは2009年に夫が描いたもの。
今日いただいたみかんも早生のもの。これは皮が軟らかくてものすごくおいしい。だから、我家はみんな大好物。
こちらも2009年に描いたもの。作者が同じだから変わり映えしない絵だけど・・・