えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

手の届かないところへ

花子とアンのこと。

朝市が子どもの頃から大好きだったはなはもう朝市の知らないことの方が多くなってしまった。ずっとはなを見続けていたのになんと切ないことだろう。ほんとに切ない。

母親のふじもまた、はなが自分の世界を広げて行けるように「はながしたいようにしたらいい」と言い、自分の気持ちは胸にしまい込み「こぴっと頑張れ」と送り出す。

二人ともはなのことが大好きで、自分の気持ちよりもはなが幸せになることだけを願っている。私はそんな二人が切なくてたまらない。はな自身は二人のそんな切ない思いを少しも気づいてないかもしれないけれど。

 

今日、久しぶりに長男から電話があった。

数カ月先のことだけれど、正式にニューヨークへの転勤が決まったという。

前々から外国への転勤希望を出してあるとは聞いていた。その希望がやっと叶ったというのだ。本人の希望だからもちろん「おめでとう、良かったね」だ。

だけど、やっぱりちょっと寂しい。

 

子どもの時から「勉強しろ」と言ったことはない。学習塾に入れたこともない。偉くなってほしい等とはさらさら思ったこともない。ただ健康であること、自分の食い扶持は自分で稼げるようになること、社会的に悪いことだけはしないこと、それだけを願ってきたのだ。できれば近くで・・・

だけど、子どもたちは当り前のように進学を希望し、家を出て行った。高校卒業後は全てを自分で決めて自分の人生を歩んでいる。それは親として頼もしくもあり誇らしくもあるのだけれど、もう私の手の届かないところに行ってしまったようで、寂しくもあるのだ。

 

アメリカの任期は2年間だそうだ。2年経てばまた日本に戻ってくる。だけど、やっぱりちょっと寂しい。今だって、年に数回しか会えないのだから変わらないのに。

 

夕食後、生ごみを片付けに庭に出た。空を見上げると、まんまるのお月さまがこちらを見て笑っているような気がした。「ニューヨークだってこの空が続いていて、お月さまだって同じように見えるんだよ」と。

 

長男には家族がついている。彼女はうれしい時は一緒に喜び、辛い時には見守ってくれている。孫たちは疲れを癒してくれている。

子どもたちはそれぞれgoing  my  wayでいいじゃないか。それが自然のことだから・・・

 

月曜日に頼まれた書類を郵送する予定でいる。

その時「おめでとう!! こぴっと頑張れ!!」と、手紙を書いてエールを送ろう。

そして私は、息子が帰国するまでの2年間は絶対に病気をしないように気をつけようと思う。羽ばたこうとする子どものジャマだけはしないように。