えむこの雑記帳 ~ときどきひとり言~

これは、脳出血後たくさんの後遺症が残ってしまった夫とえむこの何気ない日常生活を書き留めたものです。

あれから13年

2010年9月29日、夫は脳出血を発症した。左被核出血、出血量は約65㎖。当日夜中に緊急手術を受け血腫を除去したけれど、出血量が多く、脳の広範囲にダメージを受けてしまった。

急性期の病院に約1ヶ月半入院、その後回復期リハビリ病院に転院し、トータル6ヶ月の入院生活を送った後、自宅療養となった。それから右半身の完全麻痺、失語症、失認、失行、右側の注意障害等の高次脳機能障害というたくさんの障害が残り車椅子生活になった夫の介護生活が始まった。とはいえ、夫の退院に合わせ仕事を完全にやめた私にとっては夫一人の介護など決して大変なことだという思いはなかった。

 

あれからもう13年だ。月日の経つのは本当に早い。

はじめは訪問入浴と訪問リハビリだけだったので自由がきかず、ちょっと大変なこともあった。でも、試行錯誤しながら、戸惑いながらも、当時の夫は2時間ぐらい午睡していたこともあり、何とかなった。

今は、月・水・木と、デイケアに通所しているし、月に1度、一泊二日ではあるけれどショートステイも利用しているので自分の時間も持てている。それに、13年も経つと生活は落ち着き、困ることはほとんどなく、ほぼ変わらない日常を送っている。

それでも人様にはすごく大変に映るらしい。大変だけでなく、気の毒だったりかわいそうだったりするみたいだ。実際に「大変だね」とか「献身的に介護している」とか、ほかにもいろいろ悲しくなるようなことも言われたりする。当の本人は元より家にいるのが好きだし、出かけたいという欲求もない。週に3日、デイケアに行っている間に買い物にも行けるし、銀行や郵便局にも、大好きな本屋さんや図書館にだっていける。友人とだって会っておしゃべりもできる。

夫の失語症は話すことができないけれど、私が話すことはほぼ理解でき反応もある。土日には家で絵を描いたりCDを聴いたりして自分の楽しみを持てている。私も傍らで手芸をしたり、疲れているときにはトイレ介助だけすればあとは夫のベッドでだらだら過ごすことだってできる。月に一度はリボン刺繍の教室にも通えている。決して大変でもかわいそうでもなく、それなりに生活を楽しんでいる。それなりにだけれど、この年になればそれなりに楽しめれば十分だと思う。

相田みつをさんの書に「しあわせはいつもじぶんのこころがきめる」というものがある。それなら私はいつだってしあわせだと思う。

そして、これから先、まだまだ続く介護生活だけど、今のまま自然のままに暮らせたらどんなにしあわせだろうと思う。